虫の子供達の住処で朝を迎えたピィ達。
マフィン「ねぇ起きて。起きてってば。」
ピィ「う~ん何よ。」
マフィン「寝てるのあんただけよ!皆んなどっか行っちゃったわよ!」
ピィ「へっ?!」
マフィンの言葉に飛び起きるピィ。
そこにはマフィンとブラウニーとグミしかいなかった。
ピィ「はれっ?!皆んなどこ行っちゃったの?!」
ブラウニー「虫の大人達と話してくると言って出て行きましたよ。ちょとしたらまた戻って来ると言ってました。」
ブラウニーが本を読みながら答える。
ピィ「そっかぁ。すっかり寝坊してしまったわ。」
マフィン「ね。それより私にこのスカーフ使って頭に蝶々結びしてくれない?昨日来た小人の子みたいに。」
ピィ「なんで?」
マフィン「私がやった方が絶対可愛いもん。ノエル絶対びっくりしちゃうわ。」
ピィ「あらそう。ブラウニー、あんたも悩みが絶えなさそうね。」
本を読みながらこっそり会話を聞いていたブラウニーにピィが話しかける。
ブラウニー「な、何がですか。」
グミ「ぐひひっ。」
その頃、ノエル達は虫の大人達と話していた。
虫「土ぃ~?」
ノエル「ベビーリーフの葉っぱはもう長くないです。例え新しい葉っぱが生えたとしても、同じ事を繰り返します。」
ブゥ「だからその葉の土台となる土の上で暮らした方が良いと思うんです。」
虫「何言ってんだあんたら?わけわからん。」
レェ「俺たちゃ土の上から来たんだ。土の上で暮らせば葉っぱもじゃんじゃん作れるぜ。」
虫「はぁ。新しい商法かい。」
キィ「嘘じゃないよ!ほんとだよ~!」
虫「あんたらその小人に騙されてんじゃないか?あんた長の使いか?」
虫はノエルに向かって言った。
虫「前の長もクソだったけど、今の長も汚ねえな。そうやって俺達虫を葉っぱから追い出そうとでもしてんだろ。」
ノエル「違います!」
虫「俺も暇じゃねえんだ。お前らに付き合ってる時間はねえんだ。」
そう言って、虫は去っていった。
グゥ「う~ん…。また信じてもらえませんでしたねぇ。」
ノエル「…仕方ない。いきなりこんな事言って信じる方が無理がある。」
キィ「一回で良いから、土の上に来れば証明できるのにね。」
ブゥ「そうだね…。」
グゥ「一旦虫の子供達の住処へ戻りましょうか。ピィさんもそろそろ起きたかもしれませんし。」
キィ「お腹も減ったしね。」
ガサガサ
レェ「ん?」
ブゥ「どうしたのレェ?」
レェ「あ、いや何でもねえ。」
ピィ達がいる虫の子供達の住処に戻ってきたノエル達。
マフィン「も~!ちゃんとやってよ!」
ノエル「ただいま。あ、ピィ起きた?」
レェ「何騒いでんだその蜂は。」
マフィン「ちょっと!蜂って呼ばないでくれる?!マフィンよ!マ、フィ、ン!」
ピィ「ノエルに見せたいから頭に蝶々結びしてって言われたんだけどさぁ。この子髪が短いから結べなくてね。」
ノエル「え?僕に?」
マフィン「ノエル私が頭に蝶々結びしてるの見たいでしょ?」
ノエル「え?あ、う、うん。」
ブゥ「ノエルくん好かれてるね。」
キィ「ほんと最初と態度違うんだからー。」
レェ「ぶふっ。おもしれぇ。おーい、良いのかよメガネ。」
グミ「ぐひひっ。」
ブラウニー「な、何がですか。勉強中なんですから静かにしてください!」
ピィ「それより悪かったわね。私が寝坊してる間に虫達のとこに行ってたみたいで。」
グゥ「残念ながら収穫はありませんでしたけどねぇ。」
ブゥ「僕達の言う事信じてもらえなくて…。」
ピィ「ムリゲーだったのね。あと私の友達のカブトムシいなかった?」
ノエル「クッキーさんなら見かけなかったよ。」
ピィ「そう…。」
キィ「ねぇねぇ。とりあえず朝ご飯食べようよ~。」
ブゥ「そういえばアーモンドが持たせてくれた食料も早めに食べなきゃ腐っちゃうね。」
グミ「ぐぅ、ぐぅ。」
キィ「あ~っ。グミったら食いしん坊なんだから。またバームクーヘン貰えると思ってる~。」
ノエル「よしよし。マフィンちゃんとブラウニーくんもどうぞ。」
グゥ「僕のもどうぞ。ここに居させてもらってるお礼です。」
マフィン「バー……?て、なぁに…?何?それ?」
ブゥ「この食べ物だよ。凄い美味しいよ。」
マフィン「食べ物なの?それ。」
マフィンは一度バームクーヘンの匂いを嗅いでから口にする。
マフィン「……おいしいっ!」
キィ「でしょ?」
マフィン「何これ!こんな美味しいの初めて食べた!」
ピィ「ははっ!皆んな考える事は一緒ね!」
虫の子供達と楽しそうに食事するピィ達。
そんな中、葉っぱをメモ帳にし黙々と何かを描くブラウニー。
そんなブラウニーを覗き込むレェ。
レェ「おいメガネ。何やってんだ?」
ブラウニー「メガネって呼ばないでください。ブラウニーという名前があるんです。」
ブゥ「ブラウニーくん何を描いてるの?」
ブラウニー「飛行木です。」
キィ「飛行木?」
ブラウニー「木の枝で作った空を飛ぶ道具です。」
マフィン「ま~たそんなの描いてるの?」
グゥ「マフィンちゃん達は普段何して遊んでるんですか?」
マフィン「ん~と。追いかけっことか。隠れんぼとか。あと歌を歌ったり。ブラウニーは本読んだり絵描いてばっかで、足も遅いから、ほとんど私とグミとで遊んでる。たまに他所の住処から友達が来て一緒に遊んだりもするけど。」
グゥ「へ~~。楽しそうですねぇ。」
ピィ「今度私達も仲間に入れてね。」
マフィン「本当?」
グミ「ぐぅっ!ぐぅっ!」
嬉しそうなマフィンとグミ。
キィ「グミ本当バームクーヘン気に入ってるね。ペロッと食べちゃった。」
ノエル「僕もバームクーヘン好きだよ。」
ノエルの言葉にマフィンが反応する。
マフィン「ノエル。バーム…とかっての好きなの?これどこに咲いてるの?」
ノエル「これは咲いてるんじゃなくて作ったものだよ。」
マフィン「作ったの?どうやって?」
グゥ「どうやってと言われると難しいですねぇ。どこから説明したら良いのやら…。」
するとブラウニーが手を止め質問する。
ブラウニー「あなた方はどこから来たのですが?ノエルさんは昔ここに住んでたとおっしゃってましたが。つい最近までどちらにいたのですか?」
ピィ「あらっ。良い質問じゃない。」
レェ「やるな、メガネ。」
ブラウニー「その呼び方やめてください。」
キィ「あたし達は土の上から来たんだよ。」
ブラウニー「土の上?」
ノエル「このベビーリーフの根を支える世界の事だよ。バームクーヘンもそこで作ったんだ。」
ブラウニー「そんな世界があるんですか?」
マフィン「私土の上行きたい!ノエルにバームクーヘン作ってあげたい!」
ブラウニー「ダ、ダメだよマフィン。葉っぱの外には恐ろしい生き物が沢山いるって大人達が言ってたじゃないか。」
キィ「へ?いなかったよ?」
ブラウニー「勝手に葉っぱの外に出たら、大人達心配するよ。」
マフィン「う…。でもぉ…。」
ノエル「じゃあ土の上での話だけでも聞いてくれないかい?」
ブラウニー「それは構いませんが…。」
マフィン「私聞きたい!」
グミ「ぐうっ、ぐうっ。」
マフィン達の言葉にどこか嬉しそうな表情のノエル達。
グゥ「ノエルくん、夢だった先生になれますねぇ。」
マフィン「先生って何?」
グゥ「誰かに何かを教える人の事です。」
ブゥ「なんか学校みたいだね。先生と生徒がいて。」
キィ「バームクーヘン学校ってどう?」
レェ「ま~た変な名前つける。ナッツ達にバカにされるぞ。」
グミ「ぐうっ!ぐうっ!」
ピィ「はい!グミ生徒第1号!」
マフィン「あ!ちょっとぉ!生徒って何よ!とにかく私第2号ね!はいブラウニービリ!」
ブラウニー「待ってよ。僕は話は聞くけど生徒っとかっていうのになるなんて言ってないよ。」
ピィ「良かったわねノエル。可愛い生徒が沢山できて。」
ノエル「うん。僕…この子達を育てたい。」
グゥ「そうですねぇ。未来を支えていく大事な子供達ですからねぇ。」
ノエル(ボネ、今日は嬉しい事があったよ。いつかボネにも土の話をしたい。辛かった事を忘れるくらい、広い世界を一緒に見たい。そして、この子達と一緒にベビーリーフを変えていきたい。)
第25話 未来を担う者
おわり
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