マカロン 第24話 ボネ

絵本『マカロン』

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虫の子達の住処に現れたココア。

レェ「お前…何しに来た?」

ココアを警戒するレェ。

ココア「さっきフランに会ったの。いろいろ聞いたわ。」

マフィン「ここは私達の住処よ!勝手に入らないで!ブラウニーあんたも何か言いなさいよ!」

ブラウニー「お、女の子だ…。」

ボソッと呟き顔を赤くするブラウニー。

ピィ「待って。この子は私達を守ろうとしてくれたわ。まずは話を聞きましょう。」

ココアは気まずそうに話し始めた。

ココア「…お願い。太陽の妖精を連れてかないで。」

ピィ「え?」

ココア「あなた達太陽の妖精を連れ戻しに長靴の中から来たんでしょ?」

レェ「はぁ?おいおい、何でそんな話になってんだよ。」

ココア「だって、太陽の妖精がいなくなってあなた達も困ってるんでしょ?でも連れ戻されたら私達も困るの。太陽の妖精を捕まえてから、少しだけど葉っぱが元気になったの…。だから…お願い…。」

頭を下げるココア。

そんなココアに、グゥが近づき語りかける。

グゥ「ココアさん、頭を上げてください。」

グゥの言葉にココアは頭を上げ、グゥの顔を見つめる。

グゥ「僕達は確かに太陽の妖精の仲間…アップルさんの友達です。長靴から来たのは、アップルさんに会う為でもあります。でも勘違いしないで欲しい。僕達は君達からアップルさんを奪おうなんて考えていない。信じるか信じないかはお任せします。ただ、思い込みで人生棒に振らないようにね。一部を見ただけで全てを決めつけると損をします。」

ココア「……。」

ココアは立ち上がり、考え込む。

ピィ「ねぇ、葉っぱに元気がないって事はわかってるのね?」

ココア「え、えぇ。」

ブゥ「僕達長靴の中で葉っぱを作ってたんだ。ベビーリーフの葉っぱはもう危ないから、皆んなを避難させようと、アップルも一緒に葉っぱを育ててくれてたんだ。」

ココア「…え?葉っぱを作るって…?」

キィ「葉っぱは作れるんだよ~。ね、ノエル。」

ココアはノエルを方を見る。

ノエル「…僕達が長靴の中で葉っぱを育ててた事は本当だ。…ベビーリーフの為に。ベビーリーフにいたらわからなかった事が、土の上には沢山あった。皆んなにそれを教えたかった。ボネ達と…土の上で暮らしたかった…。」

ココア「……ボネ…。」

ココアはノエルに話し始める。

ココア「ボネは…あなたがいなくなってからベビーリーフをひたすら走り回ってたわ。風邪も治らないまま。入っちゃダメな葉っぱにまで行って、その度に酷い目にあって…。フランや他の小人達が止めても、ずっとあなたを探し続けていた。」

ノエル「……!」

ココアから語られるボネの話に、ノエルの表情が変わる。

ココア「私と出会ったのはその時だった。私が虫達に虐められてる時、木の枝で追い払ってくれた。私もそこの緑の虫さんを探してたから、きっと太陽の妖精の仕業だと思ったー。」

ココア「ボネはそれからポテヂィのとこまで行ったの。あなたを助ける為、太陽の妖精を捕まえる為、何か道具を貸してくれってー。小人達は辞めといた方が良いって言ったのに…。」

ココア「ボネはポテヂィの所から帰って来なかったー。虫達にまで嫌われるような汚くて卑怯なポテヂィよ。何があったかなんて…大体想像がつくわ…。おもちゃ同然よ…。ボネは何も言いたがらないし…。」

ココア「ボネが長になった時、ポテヂィは行方不明になってた。そして太陽の妖精を人質にして、私達小人を葉っぱの上に住ませ、虫達を下へ追いやった…。自分を虐めた虫達、ポテヂィの事もあって、もう虫と関わりたくないって…。」

ココア「でも虫の子供達に罪はないから、せめてもの気持ちでここの陽当たりの良い葉っぱを与えたの。私にもこの洋服を与えてくれた…。虫達から見たら悪い人なのかもしれない…でも…優しい人なの…。」

ココアはノエルに話す。

ココア「…ノエルさん。ボネを…助けてあげてね。ボネはずっと苦しみ続けてる。ボネを助けられるのはノエルさんだけだと思う。ボネはノエルさんの事大好きだから…。大好きだから、許せなかったの…。」

ノエル「…………。はい。」

ノエルは静かに返事をした。

レェ「つっても難しそうだな。完全にシャットアウトだったし。聞く耳持たない感じだったぜ。」

ピィ「意地ありそうな子だったわよね…。」

ノエル「僕達ベビーリーフの住民は無知で生きてる世界が狭いんだ…。グゥの言った通り、思い込みで判断してしまう。そこをなんとかしよう。」

キィ「なんか難しそうだけどやってみよう♪」

グミ「ぐうぅ~。」

ノエルはココアに言う。

ノエル「ボネの話聞かせてくれてありがとう。…ボネの事…しばらく頼んでいいかな…?僕は当分の間近づけなさそうだ…。」

ココア「えぇ…。」

マフィン「むっ。」

ココアはマフィンとブラウニー、グミに向かって話す。

ココア「ごめんね。勝手にあなた達の住処に入ってきて。」

グミ「ぐひっ。」

マフィン「用が済んだのならはやく帰ってくれない?!」

ココアに対して顔を赤くするブラウニー。

ブラウニー「い、いいえ…。とんでもないです…。」

レェ(なあ。あのメガネ、ココアってやつに惚れたのか?)

ピィ(私はあのマフィンって子が好きなのかと思ったんだけど。女の子なら誰でも良いのかしらね。)

レェ(ぷっ!アーモンドにでも同じ反応すんのかねぇ。お見合いさせてみたいもんだな。ガハハッ。)

グゥ(お二人ともぉ、やめましょうよぉ。)

ココアは虫の子供達の住処から去っていった。

ノエル「…ボネ。ごめんね…。僕を助ける為に、1人でずっと辛い思いさせて…ごめんね…。」

ブゥ「ノエルくん…。」

ピィ「あれ?そういえばあのココアって子足悪いって言ってなかったっけ?よくこんな下の隅っこの葉っぱまで来たわね。」

グゥ「そう言われてみればそうですねぇ。」

虫達の住処から戻ったココア。

向かった先にはクッキーがいた。

ココア「ごめんね。待たせて。」

クッキー「良いよ。」

ココア「良いの?あのピンクさんに会わなくて?ずっと探してたんでしょ?」

クッキー「…俺はボネと一緒で強くない。今のマカロンを信じて良いのかわからない。だから、お前と一緒にあいつらの行動を見てようと思う。」

ココア「そう…。ねぇ、クッキー。ちょっと星見ていかない?」

クッキー「あぁ。」

クッキーはココアを担ぎ、葉っぱの上へと戻って行く。

ココア「…私ね。太陽の妖精の事を置いておいたら、あの虫さん達悪者ではないと思う。」

クッキー「…あぁ。」

ココア「私にはなんだかんだ、緑の虫さんやクッキーや、優しくしてくれる虫達がいたもの…。でもボネは虫に対して嫌な思い出しかないから…ね…。」

クッキー「…あぁ。」

ココア「誰かを傷つけるって、そんなに簡単な事なのかな?誰かに優しくするって、そんなに難しい事なのかな?」

クッキー「…あぁ。」

星を見ながら、ココアは切なげに語っていたー。

第24話 ボネ
おわり

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