マカロン 第12話 アップルの力

絵本『マカロン』

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ノエル(‥な、なんだ‥ここ‥。)

腰が抜け呆然とするノエル。

ノエル(長靴から太陽の妖精の光が見えて、それで飛び込んで‥それで…。)

ノエル「っ!いたっ…。」

ノエルは長靴に落ちた時に足を怪我していた。

周囲に目を配るノエル。

ノエル(外よりも明るくて暖かい‥。葉っぱがいっぱい‥。ここは天国‥?。僕長靴の中に落ちて死んじゃったのか‥?)

ノエル「葉っぱ……葉っぱだ…。」

ノエルは足を引きずりながら、近くに生えてた葉っぱに恐る恐る触れた。

ノエルが長靴に落ちて数日がたち、いまだ何も気づかずに朝を迎えたマカロン達。

レェ「ふーっ。」

ピィ達は顔を洗っていた。

目の前を流れる水は、道のように土を掘り、雨が流れるようにしたもの。
これでどこにいても水が使えるようになっている。
アーモンドはこれを川と名づけた。

この日も分担して作業を行う。

アーモンド「今ナッツ達がご飯の準備してるから。じゃあ時間になったら大声出すから集まってね。」

キィ「はーい。」

この日、レェは長靴の入り口付近担当になった。

レェ「ふー。今日は草むしりか。あっちの方だいぶ草生えたんじゃねえかな。」

長靴の入り口へ向かうレェ。
ある事に気づく。

レェ「あれ?なんか葉っぱの形変じゃね?破かれたあとのような…。気のせいか?久々にこっち来たからな。」

すると。

レェ「ん?」

ノエル「ひっ!」

レェ「わ、わ、わーー!!わーわーわーーー!!!!」

その場から逃げ出すレェ。

ピィ「なに、なんなの?どうしたの?」

キィ「え?もうご飯の時間?」

ブゥ「今のはレェの声?」

アーモンドの所へ逃げ戻ってくるレェ。
そしてレェの大声を聞いて集まってくるピィ達。

グゥ「レェさんどうしたんですか?」

レェ「たたたたた大変だ。へへへ変な葉っぱが生き物で座ってて。」

アーモンド「何言ってるかわからないわよ。」

アップル「前にもあったわよねこんな事。」

ピィ「長靴の入り口の方で何かあったの?」

グゥ「行ってみましょうか。」

長靴の入り口方向に向かうピィ達。

アーモンド「ねぇ?ここら辺の葉っぱ何だか荒らされたみたいな感じになってるんだけど…。」

ブゥ「あれ?誰かいるよ。」

キィ「本当だー。誰かいる~。」

そこにはレェを見て驚いたまま動けずにいるノエルがいた。

アーモンド「私とレェが開けた穴から入ってきたのかしら?」

ピィ「あなたどこから来たの?」

ノエル「‥‥‥あ、‥‥あ‥‥。」

ブゥ「あれ?足怪我してる?腫れてるよ?」

ピィ「あら本当!大丈夫?」

ノエル「……あ、…その…。」

ノエルは茫然とするあまり声を出せないでいる。

するとグゥが。

グゥ「あなたはもしかして小人ですか?」

アップル「小人?」

ブゥ「小人って、ベビーリーフの端で住んでるっていう‥?」

キィ「ひえ~~!あたし小人に会うの初めて!」

ピィ「そうなの?あなたベビーリーフから来た小人さんなの?」

ノエル「‥‥あ‥、‥‥や‥。」

するとレェがピィ達にこっそりと話す。

レェ「お、おい。小人って、他人の物盗んだり嘘つくとかって聞いたんだが。ま、まさか葉っぱ盗みにここまで来たんじゃ‥。」

アーモンド「え、じゃあ…ここの葉っぱを荒らしたのは…。」

ノエル「あ!ああ!ごごごごめんなさい!ここに来たのは葉っぱを盗みにきたんじゃなくて、太陽の妖精を捕まえに来たの。で、でもお腹が減ってて食べるものがなくてつい…。その…何でもするから許して!!」

ピィ「太陽の妖精‥?」

ピィ達は一斉にアップルを見る。

レェ「太陽の妖精を捕まえるって‥?お前‥。」

アップル「な、何よ太陽の妖精って!!私知らないわよそんなの!!」

ブゥ「え?だって僕達と初めて会った時言ってた‥」

アップル「あれは嘘よ!あんた達をからかってやろうと思っただけ!それに太陽の妖精は男よ!」

ブゥ「な、なーんだそうだったのか。」

ピィ「ふーん。だってよ!残念でした!私達ここで暮らしてそこそこたつけど太陽の妖精はいないわよ。」

ノエル「え…。そ、そんな‥。だって、確かに光ってたのに‥。」

レェ「んで、こいつどうすんだよ。葉っぱ荒らしたわけだけど。」

ノエル「‥‥!」

怯えるノエル。するとグゥが。

グゥ「あの、ここは僕に任せてください。ピィさん達は戻って作業続けてください。」

ピィ「そう?じゃあそうするわ。」

レェ「えええ!い、いいのかよ放っておいて。」

アーモンド「とりあえず来なさい!」

レェをズルズル引きづるアーモンド。ピィ達はグゥとノエルを残し戻っていった。

そしてピィが作った小屋に集まる。

ピィ「アップルどういう事?太陽の妖精じゃないだなんて嘘ついて。」

レェ「え、結局太陽の妖精だったのかよ?」

ピィ「間に受けたんかーい!顔見ててわかったわよ。あんなに焦って。あんた顔に出るからね。」

アップル「ねぇ!私が太陽の妖精だって事あの子には黙ってて!」

ブゥ「どうして?」

アップル「私を捕まえにきたって言ってたでしょ!私、長靴の中に入る前に虫達に無理矢理さらわれそうになったの!その時は太陽の熱を発して逃げたんだけど、追いかけてくると思ってこの長靴の中に隠れたの。」

アーモンド「そうだったの…。」

アップル「きっとあの虫達の仲間よ!でもまさか長靴の中まで追っかけてくるなんて…。」

ブゥ「でも虫達と小人って仲悪いよね?」

ピィ「そうそう。小人は虫と違って羽もないし力もないから、葉っぱの奪い合いが不利なのよ。だから小人は他人の葉っぱを盗んで生活してるって聞いたわ。被害がないよう虫達が葉っぱの隅っこに追いやったって話よ。だから私も小人を見るのは初めて。」

アーモンド「へー…。なんかいろいろ大変な世界ね。じゃあ葉っぱが少なくなってるこの状況じゃ虫達より困ってるんじゃない?」

キィ「そうだね。でもさ~何で虫と小人はアップルを捕まえようとしてんの?」

アーモンド「…そうか。太陽の力があれば植物は育つから…。アップルがいるからこの長靴の中の植物は成長するのよ。その事に気づいて虫達と小人はアップルを捕まえに来たんじゃないかしら?」

レェ「ならお前外出ろよ。それで全て解決じゃねえか。」

アップル「なんですって!」

アーモンド「まあまあ。アップルが外に出ても、前に言ったとおりベビーリーフ復活は難しいわ。」

ブゥ「あの小人の子どうする?」

ピィ「ここにいるしかないんじゃない?私達と一緒で帰る手段もないだろうし。」

レェ「おいおいマジで言ってんのかよ。せっかく育てた植物や食料荒らされたらどうすんだよ。」

アップル「冗談じゃないわよ!私反対よ!」

ピィ「でも見捨てるわけにはいかないし…。それに、前に私が聞いたあの声…。多分あの子な気がするの。」

その頃グゥとノエルは。

グゥ「僕はマカロンといいます。皆さんにはグゥって呼ばれてます。君の名前は?」

ノエル「ノエル…。」

グゥ「ノエルくんよろしくです。大丈夫、怖がらないで。僕は君と同じような小人の子を知ってるから、少しは君の気持ちわかってあげられるかもしれない。」

第12話 アップルの力
おわり

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