アーモンドとナッツに出会ってから初めての朝。
アーモンド「…う……。朝ね…。」
ナッツ「むにゃむにゃ…。」
アーモンド「あんた達朝よ!起きなさい!」
アーモンドに叩き起こされるナッツ達。
アーモンドはナッツ達を起こした後、ピィが作った家へ向かう。
アーモンド「こっちもまだ寝てたか!あんた達起きなさい!」
グゥ「むにゃむにゃ…。デブでなにが悪いんですか…。」
レェ「う~ん…うっせえな…。」
アーモンド「起ーきーなーさーい!!!!」
アーモンドの大声でやっと起き上がるピィ達とアップル。
今日からベビーリーフの住民を避難させる為の葉っぱ作りが始まる。
アップルにはアーモンドが。
ピィ達5匹にはナッツ達がそれぞれ付き添って作業を行なっていた。
ナッツ「よいしょっと。」
ピィ「何してるの?頭痒いの?」
ナッツ「種をまくんだ。」
ナッツはそう言いながら頭から種をいくつか取り出し、土にまき始めた。
ピィ「種って何?食べ物?」
ナッツ「これを土に植えて育てれば、花や食べ物が生まれるんだ。ほら、黙って見てないで土を被せな!」
ピィ「わかったわ!」
土を被せるピィ。
ピィ「これで良いの?んで、これだけで何?これが花に変わっちゃうわけ?」
ナッツ「あ~も~よく喋るなお前は。」
その頃レェは、土を長い溝になるように掘っていた。
ナッツ「おい!たるんでるぞお前!もっとシャキシャキ動け!」
レェ「ちっ。アップルといい、何でお前ら妖精は生意気で口が悪いんだ。」
ナッツ「お前だって口悪いだろ!」
レェはため息をついた後座り込み、ぼんやりとする。
ナッツ「こら!なんで座る!サボるな!」
レェ「…はぁ…。…何やってんだろうなぁ…オレ。」
ナッツ「ん?」
レェ「ここに閉じ込められて、必死に穴を開けて、やっと帰れると思ったらそれもできなくて…。今度は葉っぱを育てるってか…。」
ナッツ「…。でもやるしかないぞ。やらなきゃ先に進まないだろ。」
レェ「……。あーー!!もう考えんのやめた!!やりゃあ良いんだろ!やりゃあ!もうガムシャラに突き進むぞ!!」
凄まじい勢いで土を掘っていくレェ。
ナッツ「お、なかなかの力と体力じゃないか。その調子だ。」
その頃、グゥはレェと同じく土を掘る作業をしていた。
ナッツ「ふむ。お前真面目だな。力や体力はあんまなさそうだけど。」
グゥ「そうですか?へへ~。あぅ!」
転びそうになるグゥ。
ナッツ「…ちょっと鈍臭いけどな。やっぱり葉っぱの住民が心配か?」
グゥ「そうですね。ベビーリーフがなくなるショックはもちろんありますけど、それ以上に住民が心配で…。僕、ベビーリーフに住んでた時に気になっていた子がいたんです。凄いおとなしくて、足の悪い子で…。」
ナッツ「なんだ?好きなやつがいたのか?このぅっ!」
グゥ「いいえ~。そういうのじゃないですよ~。はぅ!」
その頃ブゥは、生活に必要な小道具を作っていた。
ナッツ「ここをこうやって、そしたらくっつけるんだ。」
ブゥ「う~んと…。こう?」
ナッツ「そうそう。なかなか器用じゃん。」
ブゥ「え!そ、そうかな?ベビーリーフにいたころ葉っぱで何か作って遊んだりしてたからかな。」
ナッツ「ははっ!お前友達いなそうだもんな。」
ブゥ「う………。」
そしてキィは草むしりをしていた。
ナッツ「昨日よりは元気か?」
キィ「元気じゃない。」
ナッツ「随分はっきり言うな。あのピンクのが言った通り、やれる事をやってれば良いんだ。何もやらないでめそめそしてるよりは良いだろ?」
キィ「そうだね。でもすぐには元気出ない…。自分のふるさとだもん。」
ナッツ「そうか…。」
その頃アーモンドとアップルは。
アーモンド「あの子達元気出たかしら?」
アップル「わかんない。すぐには無理だと思うけど。」
アーモンド「そうよね。しかし、ベビーリーフの住民がどれくらいいるのかわからないけど、あれと同じサイズの葉っぱが作れるかしら。あの葉っぱは何の葉っぱだったかしら…。」
アップル「とりあえず沢山あれば良いんじゃない?」
アーモンド「そういえば羽の具合はどうなの?」
アップル「だいぶ良くなってきたわ。でもまだ飛べないの。」
アーモンド「早く空に戻りたいでしょ?」
アップル「……うーん…。そうでもないわ…。」
アーモンド「?」
数週間後ー。
グゥ「ここです、ここ。ここの土から何か音が聞こえるんです。耳を当ててみてください!」
皆んなを呼び出すグゥ。
土に耳を当てるキィ。
キィ「ほんとだ!なんか聞こえる!」
ナッツ「え~。何も聞こえないよ?」
アーモンド「まさか……。掘ってみましょう。」
土を掘ってみるアーモンド達。
するとー。
ブゥ「わぁ!な、なにこれ?」
アーモンド「やっぱり…。でもこんなに早くできるなんて…。」
ナッツ「久々のじゃがいもだ~!」
ピィ「何それ?!食べ物?!」
アーモンド「そうよ!そうだわ、今日はこれを使ってスープを作るわ!皆んなで食べましょう!」
アップル「わ~い!」
キィ「ねぇそれっておいしいの?なんか汚いよ?」
アーモンド「土は洗い落とすのよ!すっごい美味しいんだから。食べてみたらわかるわよ!」
レェ「な、なあ別の場所にも耳を当てて掘ってみようぜ!他にも食い物が出てくるかもしれねえ!」
ピィ「そうね!」
ピィ「……え…?」
ブゥ「ねぇ!こっちもじゃ…なんとかっての出てきたよ!」
グゥ「…?ピィさん、どうしたんですか?」
ピィ「なんか声が聞こえたような…。」
キィ「そこにもじゃなんとかってのあるんじゃない?」
ピィ「ううん、そうじゃなくて…。」
アーモンド「今日は思いがけない収穫祭ね!さ、スープ作るから手伝って!久々にまともなご飯が食べれるわ!」
アップル「私料理苦手…。」
キィ「あたしは得意だよ!葉っぱちぎって蜜と混ぜたのが得意!」
ナッツ「それ料理なのか…?」
その日の夜、アーモンドとナッツに料理を教わるピィ達。
ブゥが作った食器で出来上がったスープを口にする。
キィ「わあ!おいしい!おいしい!何これ!」
レェ「意外にうめえじゃねえか!」
グゥ「感動です~!」
ブゥ「こんなおいしいの初めて食べたよ!」
アップル「あんた達りんご食べた時も同じような事言ってたわよね。」
ナッツ「葉っぱばっか食べてっから…。」
ナッツ「ナイフ見て『何これ?』ってとっからスタートだもんな…。」
ナッツ「汚ねえ食い方…。スプーン使えよ。」
アーモンド「ふふっ。おいしいものは皆んなを幸せにするわね。この調子で明日からも頑張るわよ!」
グゥ「ピィさん、さっきから具合悪いんですか?」
浮かない表情のピィを気にかけるグゥ。
レェ「食べねえんならもらうぞ。」
ピィ「いいえ!おいしいわよ!ちゃんと全部食べるわ!」
ピィ(さっき聞こえた声…。なんだか悲痛な感じだった…。ベビーリーフから聞こえたのかしら…。なんだかわからないけど…待っててね…。)
第10話 生命の声
おわり
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