マカロン 第32話 大好き

絵本『マカロン』

葉っぱの頂上で、光に包まれたアップルと2人きりになるボネ。

ボネ「………。ノエル……ごめんね……。」

ボネは後悔していた。

ピィ「ボネ!!!」

グゥ「ボネく~ん!」

ボネとアップルの所へピィ達が現れた。

ボネ「……お前たち…。」

レェ「お前何やってんだバカヤロー!!早く逃げろ!!」

ブゥ「ノエルくんもクッキーさんも待ってるよ。」

キィ「あなたがボネ?初めまして、早く逃げよう!」

ボネ「……俺はいいから、早く逃げなよ。」

ピィ「何言ってんのバカ!!ぶん殴るわよ!!」

ボネに近づこうとするピィ。

ピィ「あっつっ!」

赤い光から発せられる熱で、ピィはボネに近づけない。

アップル「あ、熱いー!助けてーー!」

光の中からアップルの声が聞こえる。

ピィ「アップル、そこにいるの?!」

キィ「アップルー!助けに来たよー!」

グゥ「アップルさん落ち着いて~!」

ピィ達の声にも、赤い光は治まらない。

レェ「どうすりゃいいんだ。このままじゃ…。」

ブゥ「ボネくん、ミルクちゃんのパパ知らない?ここに来たと思うんだけど…。」

ボネ「…ここに来た虫達なら皆んな逃げたよ。」

レェ「住民達も皆んな避難してるぞ。お前も行くぞ。早くしねえと葉っぱが…。」

ボネ「俺はもう良いから早く行けよ!!」

ピィ「何言ってんの!ノエルに連れて帰るって約束してるのよ!」

ボネ「俺はもういいんだ…。なんだかもう…疲れちゃったんだ…。」

ブゥ「ボネくん…。」

ボネ「…ノエルは…あんた達に会えて幸せだったんだと思う。ちょっと…羨ましかった…。あんた達がいなくなったらノエルが悲しむ。だから早く避難しろ。」

ピィ「あんたがいなくなったってノエルは悲しむわよ。」

ボネ「……。」

悲しげな表情で下を向くボネ。

その時ー。

ノエル「ボネ!!」

レェ「ふぁっ?!」

グゥ「ノ、ノエルくん?!」

ノエルが頂上にやってきた。

キィ「ノエル、土に行ったんじゃなかったの?」

ピィ「バカ!子供達はどうしたの?!あんた、今ここに来たら戻れないのかもしれないのよ?!」

ノエル「僕はボネの友達だ!僕が助けなきゃダメなんだ。ボネを連れて、ちゃんと子供達の所に帰る。」

ボネ「……ノエル…。」

ノエル「ボネ!早く行くよ!」

ボネ「……やめてくれよ。ノエル…俺はお前が不幸になってしまえばいいって思ってたんだよ?」

ノエル「…ボネ?」

ボネ「……俺…きっと寂しかったんだ…。ノエルと再会できて嬉しかったけど、別人みたいに成長してて、遠くに感じたんだ…。それに比べて俺はずっと昔のまま時が止まってて、悔しくて、虚しくて…、自分だけどんどん嫌なやつになって…。もうこんな自分嫌なんだ。」

ボネはノエル達を見る。

ボネ「そこのピンクの虫と太陽の妖精の言う通りだ。こんな状況になってしまったのも自業自得なんだ…。それなのに俺はまだ心のどこかで、ノエルのせいでって思ったりもするんだ…。ノエルのせいじゃないってわかってるのに。許せないんだ…。」

ノエル「…それでも良いよ。僕はやっぱりボネと友達でいたいよ。」

ボネ「ノエル…。」

ノエル「僕だって寂しかったよ。友達じゃないなんて言われて。でも本心じゃないのはなんとなくわかってたよ。ボネのそういう可愛げないないとこ昔っからだし、友達だもんわかるよ…。それでも僕は一緒にいたんだ。それを補えるくらいボネには良いとこがあるんだもん。僕はボネが大好きなんだ。」

ノエルは優しく微笑んだ。

ボネ「ノエル…。ノエル…ごめんね、ごめんね。友達じゃないなんて言って。本当は違うんだ。本当は友達でいたいのに。バカだよね。ごめんね…。」

ノエル「いいよ、いいよ。僕の方こそ置いていってごめんね。また一からやり直そう。」

ボネ「…また友達になってくれる?」

ノエル「もちろん!」

その時、赤い光がピィ達とノエルのいる方へ広がっていくー。

ブゥ「わ!!」

キィ「あつっ!!」

ボネ「!!!!」

ボネはアップルを引っ張り、ピィ達とノエルから引き離そうする。

ボネ「ああああああ!!」

ピィ「!!!!ボネ!!」

太陽の熱に叫ぶボネ。

ノエル「ボネーーーー!!!」

ノエルは飛び出し、ボネとアップルを抱え葉っぱから飛び降りた。

ピィ「ノ、ノ、ノエルーー!!!!!」

キィ「あ、あわわわわ…。」

ブゥ「そ、そんな…。」

ピィ「…ノエル…アップル…ボネ…。」

グゥ「と…飛び降りちゃった…ん…ですよ…ね…?」

パニックになる一同。

レェ「お、おい!!もうダメだ!!ここももう崩れ落ちるぞ!!!」

熱に耐えきれなくなったベビーリーフは崩れていくー。

ブゥ「わ、わあああああああ!!」

ピィ「皆んな手繋いで!!飛ぶわよ!!」

ピィ達は手を繋ぎ、全力で羽を動かした。

グゥ「ぐぅううううう!!!」

レェ「もっと!もっとだ!まだ土に着くまで時間があるぞ!」

キィ「ぜ、全力疾走~ぉ…!!」

ブゥ「ぜぇ、ぜぇ。う、ううううう~!!!」

ピィ「皆んな頑張って!もうちょっとよーー!!」

レェ「手ぇ離すなよ!」

キィ「こんな事ならちゃんとダイエットしておけば良かった~。」

ブゥ「ひぃ、ひぃ、ひぃ…。」

ふわりふわりと落ちていくピィ達。

そして土ではー。

ナッツ「見えたぞ!ピィ達だ!」

ナッツ「落ちてくるぞー!」

クッキー「急げーー!!」

ナッツ達はクッキーと一緒に、手押し車に藁を積んでピィ達が落ちてくる所へ走っていく。

ぼすん!

藁の上にピィ達が落ちてくる。

ナッツ「ナイスキャッチだ!」

クッキー「マカロン…。いやピィ、良かった…。無事か…。」

ピィ「クッキー…。それにナッツ達…。ありがとう。」

ブゥ「うわあああん怖かったよう~!」

ナッツ「話は聞いたぞ。大変だったな。」

キィ「ナッツだぁ~。」

安心したキィは涙目でナッツに抱きつく。

レェ「ま、全く…寿命が縮まったぜ…。」

グゥ「住民達は…?」

クッキー「あっちに…。」

ナッツ「ママの所にいるよ。」

ナッツが指を指した先にはアーモンドとベビーリーフの住民達が。

虫「…なんてこった…。」

小人「………。」

虫「ベビーリーフ…全部燃えちまったのか…?」

小人「俺達どうすりゃ良いんだ…。」

アーモンド「これがあなた達がやってきた事の結果よ。」

虫と小人達「………。」

アーモンド「今は何も考えれないでしょうね。あなた達はもう土で生きていくしかないわ。頭を冷やして、現実を受け止めなさい。そして一からやり直しなさい。」

虫「うっ、うぅ…。」

虫「…ひっく。ひっく…。」

すると、避難の時に虫に助けられた小人が寄ってくる。

小人「あ…。さっきは助けてくれてありがとう…。」

虫「ん?あ、ああ…。」

小人「なんで助けてくれたんだ?」

虫「バカヤロウ。当たり前だろ…。目の前で誰かが死ぬとこなんて見たくねえよ…。」

小人「そ、そうか…。」

アーモンドの所へピィ達とクッキーが駆け寄る。

ピィ「アーモンド!」

アーモンド「…皆んな!…おかえり。疲れたでしょう?」

静かに優しく笑ってピィ達を迎えるアーモンド。

グゥ「ご迷惑おかけしました。」

レェ「住民は全員無事か?」

アーモンド「…いえ…。避難が間に合わなかった生き物もいるみたい…。」

ピィ「…そう…。」

キィ「…そういえばポテヂィがいない気がする…。」

ブゥ「動けなさそうだったしね…。」

クッキー「悪いな…。全員避難させきれなくて…。」

グゥ「……。」

悲しみに包まれるピィ達。

ブゥ「…クッキーさん、藁用意してくれてありがとう。助かったよ。」

クッキー「いや、俺は何にも…。ノエルとナッツとかって子達が考えたんだ。」

ピィ「ノエルが…。」

ピィから涙が溢れる。

ピィ「うぅ…。アーモンド、ごめんなさい。私ノエルとアップルを助けれなかった…。クッキーにも…ボネを頼むって言われてたのに…。」

クッキー「ピィ…。」

アーモンド「…ふっ。」

アーモンドは笑った。

アーモンド「あなた達!長靴の中に行ってみなさい。ノエルがいるわよ。」

5匹のマカロン「え?」

マフィン「ノエル良かった、良かったぁ…。」

グミ「ぐうっ!ぐうっ!」

ノエル「うぅ…。………ボネ…は…?」

ココア「気絶してるけど無事よ。太陽の妖精も。良かった…本当に。」

ブラウニー「ノエルさんも長も火傷してます。手当しないと。」

ノエル「ありがと…。」

ノエルはか細い声で答えた。

レェ「ノエルー!!ノエルーー!!」

ピィ「ノエルーー!!アップルーー!!ボネーー!!」

5匹のマカロンとクッキーが、ノエル達の所へ走ってくる。

ノエル「……ピィ達の声が聞こえる…。」

ココア「緑さん達!」

キィ「良かったあ!無事だったんだね!」

ブゥ「ここ…。僕達が掘った川だ…。」

グゥ「えぇ…。僕達とノエルくんが落ちた場所ですね。」

ピィ「初めからこの長靴に落ちるつもりだったのね。もう…いつのまにか大人になっちゃって。」

ノエルに抱きつくピィ。

マフィン「ちょっとお!くっつかないでよ!ノエル絶対帰ってくるって私と約束したものね。」

ブラウニー「むっ。」

グミ「ぐひひっ。」

ノエル「…ふふっ。ちょっと疲れたから…休んでいい…?」

レェ「おぅ休め休め。」

ブゥ「僕達も疲れちゃったね。いろいろあって、久々に飛んだし。」

ブラウニー「え?あなた達飛べるんですか?」

ピィ「羽がついてるもの飛べるわよ!ちょっとだけどね。」

クッキー「ふわふわ落ちてきてたけどな。」

マフィン「さては太ってるからちょっとしか飛べないのね。」

キィ「しっつれーい!」

クッキー「ははっ。」

ピィ「クッキー!笑ってるけどあなただって服パツパツよ?!」

クッキー「はぁ?」

ココア「ふふふっ。」

ブゥ「あはははっ。」

第32話 大好き
おわり

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