クッキーとココアがいなくなり、1人過去を振り返るボネ。
ボネはアップルを捕まえた時のことを思い出す。
アップル「ちょっと!何すんのよ!離してよ!!」
ボネ「この野郎!!ノエルを返せ!!全部、全部お前のせいだ!!」
ピィ「小さな子供がそのまま大きくなってしまったみたい。」
ココア「このままじゃ1人になっちゃうよ?」
ボネ「……俺…何やってんだろう…。」
ボネ「わかってるよ…ノエルは悪くないって…。わかってるのに…。」
虫達「おい。」
虫達がボネの住処に現れた。
虫達の声に振り返り、驚くボネ。
ボネ「…なっ、何でお前たちここに…。ここはお前たちが来ちゃダメな場所だぞ!」
虫「出て行って欲しいなら俺達を倒してみな。」
虫「お前ら小人なんて何にもできないだろうけどな。」
ボネ「お前たち…そんな事言ったらいったいどうなるか…。」
虫「太陽の妖精を使う気か?もうその脅しはきかねえよ。」
虫「この雨はなんだ?それにここんとこずっと不安定な天気だ。その太陽の妖精はハリボテみてえなもんだろ。」
虫「結局お前ら小人は俺らに叶わないんだよ。」
ボネ「…お前たちは何?どうしたいの?」
虫「俺らはお前を恨んでるんだ!葉っぱの隅っこに追いやられて、陽の光も浴びれない。葉っぱは少なくなるばかり。こうなったのも全部お前のせいだ!」
ボネ「…!なにさ!もとはと言えば虫達のせいじゃないか!」
虫「いいやお前のせいだ!!」
虫「うちの子供だってお前のせいで不自由な思いしてるんだよ!」
ボネ「なんで…何で俺ばっか…。俺が何か悪いことしたか?!何もしてないのに小人ってだけでいじめられて!友達を助けるために必死になって!その気持ちを利用されて、嫌な思いして…。友達は離れていって…。なのに何で俺が悪いんだよ!!」
虫「黙れ!!お前の友達とか知るか!」
ボネの胸ぐらを掴む虫。
ボネの脳裏にポテヂィがよぎる。
ボネ「ひっ…。」
その時だったー。
アップル「いい加減に……いい加減にしてよーーーー!!!!」
ボネ「!!」
虫「な、なんだ?」
突然目覚めるアップル。
赤く熱い光を発し、アップルを縛っていた紐がぶちぶちと切れる。
アップルは宙に浮きながら叫ぶ。
アップル「あんた達どんだけ醜いの!!そうやって誰かのせいばっかにして!!バッカじゃない!!どんなに葉っぱが増えたって、あんた達が変わらなきゃベビーリーフは変わらないのよ!!」
虫「な、何言ってるんだお前?」
アップル「そんな事もわからないの?!本当バカね!!付き合ってられないわ!!あんた達みたいなやつらなんて私は助けたくない!!」
ボネ「………。」
アップル「どんなに無力で無知でも、頑張って自分達の住む世界を作っていく…。私が光を与えたかったのはそういう世界よ。」
アップル「こんな世界は、私の力があろうとなかろうといつかは滅びるのよっっっ!!!」
アップルから赤い光が発する。
虫「な、なんだ?」
虫「ま、まさか噂で聞いた太陽の熱ってやつじゃ…。」
アップルは赤い光に包まれ姿が見えなくなる。
周囲の気温が上がっていく。
虫「あ、あちい!」
虫「お、おい!や、やばいぞ、逃げるぞ!!!」
虫達はいっせいに逃げ出す。
ボネだけは呆然とし、その場にペタリと座り込んだ。
葉っぱの下は混乱していた。
虫「急げ!!!早く逃げろ!!」
虫「こ、このままじゃベビーリーフがなくなっちまう…。」
虫「いいから早く逃げるぞ!!」
虫「あぁ…。俺の住処が…。」
混乱する虫達の中を走っていくピィ達。
レェ「大変な事になっちまったな。」
グゥ「一刻も早くボネくんの所に向かいましょう。」
キィ「ねぇ、変な音で聞こえにくかったけど、アップルの声も聞こえたような気がしたよ。」
ブゥ「うん。僕も聞こえた。怒ってるような、悲しんでるような声だった。」
ピィ「早く2人を助けなきゃ…。」
その頃小人達の住処ではー。
フラン「急げ!!皆んな逃げろ!」
小人「に、逃げるってどこに?!」
フラン「…土だ。」
小人「土って…。」
ココア「この葉っぱを支える場所よ。」
小人「土って…恐ろしい武器を持った生き物がいるんじゃないのか?」
フラン「でもここにいたら熱でやられちまう!梯子が燃える前に避難するぞ!」
小人「ああああ。もう何がなんだかわかんねえよ。」
混乱する小人。
クッキー「ココア!!」
ココア「クッキー!」
小人達の住処にクッキーがミルク達を連れて現れる。
クッキー「皆んな!こっちから行くと下の葉っぱまで簡単に下れる。一番下まで行ったら梯子を使って土まで降りていけ!」
小人「あ、ああ。」
クッキー「ココア、お前と子供達は俺が担いで行く。この梯子を持っててくれ。」
ココア「う、うん!」
ベビーリーフの住民達は土に向かって行く。
小人「あ、ああ…待って…。俺も…。」
逃げ遅れた小人が土に向かって飛んでいく虫達に助けを求めるが、気づいてもらえない。
その時、後ろから飛んできた虫がその小人を抱えて飛び立った。
虫「バカ!何やってんだ!逃げるぞ!」
小人「あ…ありがとう…。」
大きな体にミルクとクリープをくくりつけ、茎を降りて行くクッキー。そのクッキーに捕まるココア。
クリープ「早く早く!」
クッキー「わかってる!」
ミルク「こ、怖いよ…。」
クッキー「大丈夫だ!」
クッキーにつかまりながら、近づいてくる土を見つめるココア。
ココア「ここが…土…。」
土に降りたったクッキー達。
クッキーに続いて次々住民達が土に降り立つ。
クッキー「すげぇ…。広い……。」
土を見渡し、その壮大さに瞬きを忘れ見入るクッキー。
虫「ああああ…。葉っぱが…。ベビーリーフが…。」
ベビーリーフの葉っぱが少しずつ落ちていく。
その様子を呆然と見つめる住民達。
小人「…………。わ、わあああああああ!!」
小人「どうした?!」
住民達が振り返ると、そこにはアーモンドが険しい顔で立っていた。
虫「ひっ!あああ噂は本当だったのか。恐ろしい武器を持った生き物がいるって。」
アーモンドに怯える住民達。
一方クッキー達の所には、ノエル達が走ってくる。
マフィン「ミルクーー!クリープーー!」
ブラウニー「お~~いっ。」
ミルク「あっ、マフィンとブラウニー!それにグミ!」
クリープ「マフィン達先に来てたんだ。」
ココア「ノエルさん!」
マフィン「ちょっと気安く呼ばないでよ!」
クッキー「ボネの友達か。」
ノエル「あ…あなたはもしかして…。」
クッキーを見て過去に助けられた事を思い出すノエル。
ココア「ボネの所にはピンクさん達が向かってるらしいわ。」
葉っぱが落ちていくベビーリーフを見つめるノエル。
ノエル「…ダメだ…。このままじゃ間に合わない…。何か…。何か方法は…。」
辺りを見回すノエル。
第31話 無知が引き起こしたもの
おわり
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