マカロン 第31話 無知が引き起こしたもの

絵本『マカロン』

クッキーとココアがいなくなり、1人過去を振り返るボネ。

ボネはアップルを捕まえた時のことを思い出す。

アップル「ちょっと!何すんのよ!離してよ!!」

ボネ「この野郎!!ノエルを返せ!!全部、全部お前のせいだ!!」

ピィ「小さな子供がそのまま大きくなってしまったみたい。」

ココア「このままじゃ1人になっちゃうよ?」

ボネ「……俺…何やってんだろう…。」

ボネ「わかってるよ…ノエルは悪くないって…。わかってるのに…。」

虫達「おい。」

虫達がボネの住処に現れた。

虫達の声に振り返り、驚くボネ。

ボネ「…なっ、何でお前たちここに…。ここはお前たちが来ちゃダメな場所だぞ!」

虫「出て行って欲しいなら俺達を倒してみな。」

虫「お前ら小人なんて何にもできないだろうけどな。」

ボネ「お前たち…そんな事言ったらいったいどうなるか…。」

虫「太陽の妖精を使う気か?もうその脅しはきかねえよ。」

虫「この雨はなんだ?それにここんとこずっと不安定な天気だ。その太陽の妖精はハリボテみてえなもんだろ。」

虫「結局お前ら小人は俺らに叶わないんだよ。」

ボネ「…お前たちは何?どうしたいの?」

虫「俺らはお前を恨んでるんだ!葉っぱの隅っこに追いやられて、陽の光も浴びれない。葉っぱは少なくなるばかり。こうなったのも全部お前のせいだ!」

ボネ「…!なにさ!もとはと言えば虫達のせいじゃないか!」

虫「いいやお前のせいだ!!」

虫「うちの子供だってお前のせいで不自由な思いしてるんだよ!」

ボネ「なんで…何で俺ばっか…。俺が何か悪いことしたか?!何もしてないのに小人ってだけでいじめられて!友達を助けるために必死になって!その気持ちを利用されて、嫌な思いして…。友達は離れていって…。なのに何で俺が悪いんだよ!!」

虫「黙れ!!お前の友達とか知るか!」

ボネの胸ぐらを掴む虫。

ボネの脳裏にポテヂィがよぎる。

ボネ「ひっ…。」

その時だったー。

アップル「いい加減に……いい加減にしてよーーーー!!!!」

ボネ「!!」

虫「な、なんだ?」

突然目覚めるアップル。

赤く熱い光を発し、アップルを縛っていた紐がぶちぶちと切れる。

アップルは宙に浮きながら叫ぶ。

アップル「あんた達どんだけ醜いの!!そうやって誰かのせいばっかにして!!バッカじゃない!!どんなに葉っぱが増えたって、あんた達が変わらなきゃベビーリーフは変わらないのよ!!」

虫「な、何言ってるんだお前?」

アップル「そんな事もわからないの?!本当バカね!!付き合ってられないわ!!あんた達みたいなやつらなんて私は助けたくない!!」

ボネ「………。」

アップル「どんなに無力で無知でも、頑張って自分達の住む世界を作っていく…。私が光を与えたかったのはそういう世界よ。」

アップル「こんな世界は、私の力があろうとなかろうといつかは滅びるのよっっっ!!!」

アップルから赤い光が発する。

虫「な、なんだ?」

虫「ま、まさか噂で聞いた太陽の熱ってやつじゃ…。」

アップルは赤い光に包まれ姿が見えなくなる。
周囲の気温が上がっていく。

虫「あ、あちい!」

虫「お、おい!や、やばいぞ、逃げるぞ!!!」

虫達はいっせいに逃げ出す。

ボネだけは呆然とし、その場にペタリと座り込んだ。

葉っぱの下は混乱していた。

虫「急げ!!!早く逃げろ!!」

虫「こ、このままじゃベビーリーフがなくなっちまう…。」

虫「いいから早く逃げるぞ!!」

虫「あぁ…。俺の住処が…。」

混乱する虫達の中を走っていくピィ達。

レェ「大変な事になっちまったな。」

グゥ「一刻も早くボネくんの所に向かいましょう。」

キィ「ねぇ、変な音で聞こえにくかったけど、アップルの声も聞こえたような気がしたよ。」

ブゥ「うん。僕も聞こえた。怒ってるような、悲しんでるような声だった。」

ピィ「早く2人を助けなきゃ…。」

その頃小人達の住処ではー。

フラン「急げ!!皆んな逃げろ!」

小人「に、逃げるってどこに?!」

フラン「…土だ。」

小人「土って…。」

ココア「この葉っぱを支える場所よ。」

小人「土って…恐ろしい武器を持った生き物がいるんじゃないのか?」

フラン「でもここにいたら熱でやられちまう!梯子が燃える前に避難するぞ!」

小人「ああああ。もう何がなんだかわかんねえよ。」

混乱する小人。

クッキー「ココア!!」

ココア「クッキー!」

小人達の住処にクッキーがミルク達を連れて現れる。

クッキー「皆んな!こっちから行くと下の葉っぱまで簡単に下れる。一番下まで行ったら梯子を使って土まで降りていけ!」

小人「あ、ああ。」

クッキー「ココア、お前と子供達は俺が担いで行く。この梯子を持っててくれ。」

ココア「う、うん!」

ベビーリーフの住民達は土に向かって行く。

小人「あ、ああ…待って…。俺も…。」

逃げ遅れた小人が土に向かって飛んでいく虫達に助けを求めるが、気づいてもらえない。

その時、後ろから飛んできた虫がその小人を抱えて飛び立った。

虫「バカ!何やってんだ!逃げるぞ!」

小人「あ…ありがとう…。」

大きな体にミルクとクリープをくくりつけ、茎を降りて行くクッキー。そのクッキーに捕まるココア。

クリープ「早く早く!」

クッキー「わかってる!」

ミルク「こ、怖いよ…。」

クッキー「大丈夫だ!」

クッキーにつかまりながら、近づいてくる土を見つめるココア。

ココア「ここが…土…。」

土に降りたったクッキー達。

クッキーに続いて次々住民達が土に降り立つ。

クッキー「すげぇ…。広い……。」

土を見渡し、その壮大さに瞬きを忘れ見入るクッキー。

虫「ああああ…。葉っぱが…。ベビーリーフが…。」

ベビーリーフの葉っぱが少しずつ落ちていく。

その様子を呆然と見つめる住民達。

小人「…………。わ、わあああああああ!!」

小人「どうした?!」

住民達が振り返ると、そこにはアーモンドが険しい顔で立っていた。

虫「ひっ!あああ噂は本当だったのか。恐ろしい武器を持った生き物がいるって。」

アーモンドに怯える住民達。

一方クッキー達の所には、ノエル達が走ってくる。

マフィン「ミルクーー!クリープーー!」

ブラウニー「お~~いっ。」

ミルク「あっ、マフィンとブラウニー!それにグミ!」

クリープ「マフィン達先に来てたんだ。」

ココア「ノエルさん!」

マフィン「ちょっと気安く呼ばないでよ!」

クッキー「ボネの友達か。」

ノエル「あ…あなたはもしかして…。」

クッキーを見て過去に助けられた事を思い出すノエル。

ココア「ボネの所にはピンクさん達が向かってるらしいわ。」

葉っぱが落ちていくベビーリーフを見つめるノエル。

ノエル「…ダメだ…。このままじゃ間に合わない…。何か…。何か方法は…。」

辺りを見回すノエル。

第31話 無知が引き起こしたもの
おわり

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