葉っぱの頂上で、光に包まれたアップルと2人きりになるボネ。
ボネ「………。ノエル……ごめんね……。」
ボネは後悔していた。
ピィ「ボネ!!!」
グゥ「ボネく~ん!」
ボネとアップルの所へピィ達が現れた。
ボネ「……お前たち…。」
レェ「お前何やってんだバカヤロー!!早く逃げろ!!」
ブゥ「ノエルくんもクッキーさんも待ってるよ。」
キィ「あなたがボネ?初めまして、早く逃げよう!」
ボネ「……俺はいいから、早く逃げなよ。」
ピィ「何言ってんのバカ!!ぶん殴るわよ!!」
ボネに近づこうとするピィ。
ピィ「あっつっ!」
赤い光から発せられる熱で、ピィはボネに近づけない。
アップル「あ、熱いー!助けてーー!」
光の中からアップルの声が聞こえる。
ピィ「アップル、そこにいるの?!」
キィ「アップルー!助けに来たよー!」
グゥ「アップルさん落ち着いて~!」
ピィ達の声にも、赤い光は治まらない。
レェ「どうすりゃいいんだ。このままじゃ…。」
ブゥ「ボネくん、ミルクちゃんのパパ知らない?ここに来たと思うんだけど…。」
ボネ「…ここに来た虫達なら皆んな逃げたよ。」
レェ「住民達も皆んな避難してるぞ。お前も行くぞ。早くしねえと葉っぱが…。」
ボネ「俺はもう良いから早く行けよ!!」
ピィ「何言ってんの!ノエルに連れて帰るって約束してるのよ!」
ボネ「俺はもういいんだ…。なんだかもう…疲れちゃったんだ…。」
ブゥ「ボネくん…。」
ボネ「…ノエルは…あんた達に会えて幸せだったんだと思う。ちょっと…羨ましかった…。あんた達がいなくなったらノエルが悲しむ。だから早く避難しろ。」
ピィ「あんたがいなくなったってノエルは悲しむわよ。」
ボネ「……。」
悲しげな表情で下を向くボネ。
その時ー。
ノエル「ボネ!!」
レェ「ふぁっ?!」
グゥ「ノ、ノエルくん?!」
ノエルが頂上にやってきた。
キィ「ノエル、土に行ったんじゃなかったの?」
ピィ「バカ!子供達はどうしたの?!あんた、今ここに来たら戻れないのかもしれないのよ?!」
ノエル「僕はボネの友達だ!僕が助けなきゃダメなんだ。ボネを連れて、ちゃんと子供達の所に帰る。」
ボネ「……ノエル…。」
ノエル「ボネ!早く行くよ!」
ボネ「……やめてくれよ。ノエル…俺はお前が不幸になってしまえばいいって思ってたんだよ?」
ノエル「…ボネ?」
ボネ「……俺…きっと寂しかったんだ…。ノエルと再会できて嬉しかったけど、別人みたいに成長してて、遠くに感じたんだ…。それに比べて俺はずっと昔のまま時が止まってて、悔しくて、虚しくて…、自分だけどんどん嫌なやつになって…。もうこんな自分嫌なんだ。」
ボネはノエル達を見る。
ボネ「そこのピンクの虫と太陽の妖精の言う通りだ。こんな状況になってしまったのも自業自得なんだ…。それなのに俺はまだ心のどこかで、ノエルのせいでって思ったりもするんだ…。ノエルのせいじゃないってわかってるのに。許せないんだ…。」
ノエル「…それでも良いよ。僕はやっぱりボネと友達でいたいよ。」
ボネ「ノエル…。」
ノエル「僕だって寂しかったよ。友達じゃないなんて言われて。でも本心じゃないのはなんとなくわかってたよ。ボネのそういう可愛げないないとこ昔っからだし、友達だもんわかるよ…。それでも僕は一緒にいたんだ。それを補えるくらいボネには良いとこがあるんだもん。僕はボネが大好きなんだ。」
ノエルは優しく微笑んだ。
ボネ「ノエル…。ノエル…ごめんね、ごめんね。友達じゃないなんて言って。本当は違うんだ。本当は友達でいたいのに。バカだよね。ごめんね…。」
ノエル「いいよ、いいよ。僕の方こそ置いていってごめんね。また一からやり直そう。」
ボネ「…また友達になってくれる?」
ノエル「もちろん!」
その時、赤い光がピィ達とノエルのいる方へ広がっていくー。
ブゥ「わ!!」
キィ「あつっ!!」
ボネ「!!!!」
ボネはアップルを引っ張り、ピィ達とノエルから引き離そうする。
ボネ「ああああああ!!」
ピィ「!!!!ボネ!!」
太陽の熱に叫ぶボネ。
ノエル「ボネーーーー!!!」
ノエルは飛び出し、ボネとアップルを抱え葉っぱから飛び降りた。
ピィ「ノ、ノ、ノエルーー!!!!!」
キィ「あ、あわわわわ…。」
ブゥ「そ、そんな…。」
ピィ「…ノエル…アップル…ボネ…。」
グゥ「と…飛び降りちゃった…ん…ですよ…ね…?」
パニックになる一同。
レェ「お、おい!!もうダメだ!!ここももう崩れ落ちるぞ!!!」
熱に耐えきれなくなったベビーリーフは崩れていくー。
ブゥ「わ、わあああああああ!!」
ピィ「皆んな手繋いで!!飛ぶわよ!!」
ピィ達は手を繋ぎ、全力で羽を動かした。
グゥ「ぐぅううううう!!!」
レェ「もっと!もっとだ!まだ土に着くまで時間があるぞ!」
キィ「ぜ、全力疾走~ぉ…!!」
ブゥ「ぜぇ、ぜぇ。う、ううううう~!!!」
ピィ「皆んな頑張って!もうちょっとよーー!!」
レェ「手ぇ離すなよ!」
キィ「こんな事ならちゃんとダイエットしておけば良かった~。」
ブゥ「ひぃ、ひぃ、ひぃ…。」
ふわりふわりと落ちていくピィ達。
そして土ではー。
ナッツ「見えたぞ!ピィ達だ!」
ナッツ「落ちてくるぞー!」
クッキー「急げーー!!」
ナッツ達はクッキーと一緒に、手押し車に藁を積んでピィ達が落ちてくる所へ走っていく。
ぼすん!
藁の上にピィ達が落ちてくる。
ナッツ「ナイスキャッチだ!」
クッキー「マカロン…。いやピィ、良かった…。無事か…。」
ピィ「クッキー…。それにナッツ達…。ありがとう。」
ブゥ「うわあああん怖かったよう~!」
ナッツ「話は聞いたぞ。大変だったな。」
キィ「ナッツだぁ~。」
安心したキィは涙目でナッツに抱きつく。
レェ「ま、全く…寿命が縮まったぜ…。」
グゥ「住民達は…?」
クッキー「あっちに…。」
ナッツ「ママの所にいるよ。」
ナッツが指を指した先にはアーモンドとベビーリーフの住民達が。
虫「…なんてこった…。」
小人「………。」
虫「ベビーリーフ…全部燃えちまったのか…?」
小人「俺達どうすりゃ良いんだ…。」
アーモンド「これがあなた達がやってきた事の結果よ。」
虫と小人達「………。」
アーモンド「今は何も考えれないでしょうね。あなた達はもう土で生きていくしかないわ。頭を冷やして、現実を受け止めなさい。そして一からやり直しなさい。」
虫「うっ、うぅ…。」
虫「…ひっく。ひっく…。」
すると、避難の時に虫に助けられた小人が寄ってくる。
小人「あ…。さっきは助けてくれてありがとう…。」
虫「ん?あ、ああ…。」
小人「なんで助けてくれたんだ?」
虫「バカヤロウ。当たり前だろ…。目の前で誰かが死ぬとこなんて見たくねえよ…。」
小人「そ、そうか…。」
アーモンドの所へピィ達とクッキーが駆け寄る。
ピィ「アーモンド!」
アーモンド「…皆んな!…おかえり。疲れたでしょう?」
静かに優しく笑ってピィ達を迎えるアーモンド。
グゥ「ご迷惑おかけしました。」
レェ「住民は全員無事か?」
アーモンド「…いえ…。避難が間に合わなかった生き物もいるみたい…。」
ピィ「…そう…。」
キィ「…そういえばポテヂィがいない気がする…。」
ブゥ「動けなさそうだったしね…。」
クッキー「悪いな…。全員避難させきれなくて…。」
グゥ「……。」
悲しみに包まれるピィ達。
ブゥ「…クッキーさん、藁用意してくれてありがとう。助かったよ。」
クッキー「いや、俺は何にも…。ノエルとナッツとかって子達が考えたんだ。」
ピィ「ノエルが…。」
ピィから涙が溢れる。
ピィ「うぅ…。アーモンド、ごめんなさい。私ノエルとアップルを助けれなかった…。クッキーにも…ボネを頼むって言われてたのに…。」
クッキー「ピィ…。」
アーモンド「…ふっ。」
アーモンドは笑った。
アーモンド「あなた達!長靴の中に行ってみなさい。ノエルがいるわよ。」
5匹のマカロン「え?」
マフィン「ノエル良かった、良かったぁ…。」
グミ「ぐうっ!ぐうっ!」
ノエル「うぅ…。………ボネ…は…?」
ココア「気絶してるけど無事よ。太陽の妖精も。良かった…本当に。」
ブラウニー「ノエルさんも長も火傷してます。手当しないと。」
ノエル「ありがと…。」
ノエルはか細い声で答えた。
レェ「ノエルー!!ノエルーー!!」
ピィ「ノエルーー!!アップルーー!!ボネーー!!」
5匹のマカロンとクッキーが、ノエル達の所へ走ってくる。
ノエル「……ピィ達の声が聞こえる…。」
ココア「緑さん達!」
キィ「良かったあ!無事だったんだね!」
ブゥ「ここ…。僕達が掘った川だ…。」
グゥ「えぇ…。僕達とノエルくんが落ちた場所ですね。」
ピィ「初めからこの長靴に落ちるつもりだったのね。もう…いつのまにか大人になっちゃって。」
ノエルに抱きつくピィ。
マフィン「ちょっとお!くっつかないでよ!ノエル絶対帰ってくるって私と約束したものね。」
ブラウニー「むっ。」
グミ「ぐひひっ。」
ノエル「…ふふっ。ちょっと疲れたから…休んでいい…?」
レェ「おぅ休め休め。」
ブゥ「僕達も疲れちゃったね。いろいろあって、久々に飛んだし。」
ブラウニー「え?あなた達飛べるんですか?」
ピィ「羽がついてるもの飛べるわよ!ちょっとだけどね。」
クッキー「ふわふわ落ちてきてたけどな。」
マフィン「さては太ってるからちょっとしか飛べないのね。」
キィ「しっつれーい!」
クッキー「ははっ。」
ピィ「クッキー!笑ってるけどあなただって服パツパツよ?!」
クッキー「はぁ?」
ココア「ふふふっ。」
ブゥ「あはははっ。」
第32話 大好き
おわり
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