声を聞いて集まったピィ達は、グゥから事情を聞く。
レェ「な、なんだってぇ?!た…大変な事になっちまったな…。」
ピィ「しまった…。あの場にいた方が良かったのかしら…。」
グゥ「あの場?」
レェ「ボネの住処だ。そこにアップルもいた。ピィの友達のクッキーも、ココアもな。」
キィ「アップルいたの?!」
レェ「ああ。高い所に吊るされてたから助けられなかったけどな。アップルのやつ、呼んでも返事もしないし動かないんだ。」
キィ「寝てるんじゃなくて?」
ノエル「ボネに会ったの?」
ピィ「えぇ…。ちょっときつい事言ったわ。」
レェ「…仕方ねぇさ。」
ブゥ「どうしよう…。僕のせいだ…。僕がポテヂィに怒ったから、多分こんな事に…。」
キィ「ブゥは悪くないよ!」
レェ「しっかしさすがゴキブリ。突き落とされたってのに凄い生命力だな。」
すると、ブラウニーが不安そうな表情でたずねる。
ブラウニー「あの…。僕達これからどうなるんですか?ベビーリーフは大丈夫なんですか?」
マフィン「大人達喧嘩するの…?」
グミ「ぐぅ…。」
顔を見合わせる5匹のマカロンとノエル。
ノエル「ブラウニーくん達、土の上に行こう。」
グゥ「そうですねぇ。もともとその予定でしたし。」
ブゥ「うん…。子供達だけでも避難させよう。」
ブラウニー「ま、待ってください。土の上には恐ろしい生き物がいると聞きました。」
ノエル「大丈夫。土の上には僕を育ててくれた人がいる。土に行ったら皆んなでバームクーヘン作ろう。」
マフィン「…うんっ。この小麦持って行かなくちゃ。」
ピィ「そうね。じゃあノエル、子供達の事頼んだわよ。私達はボネの所へ向かうわ。」
ノエル「子供達を避難させたら僕も向かうよ。」
ピィ「何言ってるの。あんたは子供達についてなさい。知らないところに置いてくわけにはいかないでしょ。」
マフィン達が不安そうな表情でノエルを見つめる。
そんな子供達を見ながらも、ノエルの脳裏にはボネがよぎる。
レェ「ボネの事なら任せろ。」
ノエル「レェ…。」
グゥ「ノエルくんはその子達の先生になるんですよ。ついていてあげてください。」
キィ「しっかりしてよねっ。」
ノエル「………。」
ノエルはもどかしそうに拳を握った。
ノエル「…わかった。ボネを…頼んだ。」
ピィ「よし、行くわよ!」
ノエルを置いて葉っぱの上部に向かったピィ達。
ピィ「なんだかとても嫌な予感がするわ。」
ブゥ「うん…。天気がどんどん悪くなってる…。」
レェ「急ぐぞ!」
一方、ボネ達はー。
ボネ「………。」
一人遠くを見つめるボネ。
頭にピィに言われた言葉が蘇る。
ピィ『あなたはいつまで子供でいるつもり?いつまでも周りのせいにしていられないわよ。』
ボネ「…何で俺ばっか…。」
ぼそっと呟くボネに、ココアが後ろから声をかける。
ココア「ボネ…。…どうするの?皆んなを避難させなくていいの?クッキーも…。」
クッキー「……。」
ボネ「…お前あいつらの話信じてるの?」
ココア「…ボネだって…クッキーだって…本当は信じてるんでしょ?いつまで変な意地はってるのよ。」
クッキー「………っ。」
クッキーは思い立ったように、その場から去った。
ボネ「…!」
去って行ったクッキーを見て、複雑な表情を浮かべるボネ。
ボネ「…はは。また一人になるのか…。」
ココア「ボネ…。いつまでそうしてるの?あのピンクさんの言ってる通りだよ。」
ボネに訴えるココア。
ココア「ボネは優しい人だと思う。ノエルさんを助ける為に必死になって、虫の子達に住処を与えて、私の事も助けてくれた。私はボネの友達だしボネの味方でいたい。でもノエルさん達が帰ってきてからボネの嫌な面ばかりが目立って見てられないよ。このままじゃ本当に一人ぼっちになっちゃうよ。」
ココア「私、小人達に避難するよう話してくる。」
ココアは小人達の住処に向かった。
ボネは一人その場に取り残された。
虫達の住処に向かったクッキー。
クッキー「なんだ…?何で誰もいないんだ…?」
そこには虫達の姿は見当たらなかった。
すると遠くからミルクとクリープが走ってきた。
ミルク「クッキーだ!」
クリープ「クッキー!」
クッキー「お前達…。ミルク、どうかしたか?何で泣いてるんだ?なぁクリープ、大人達はどうした?皆んなどこに行ったんだ?」
ミルク「ぐすっ。ぐすっ。皆んな怒っていなくなっちゃった…。ミルクのパパも…。」
クリープ「皆んなボネをやっつけるって言っていなくなっちゃった…。」
クッキー「なんだって?!それ本当か?!」
ミルク「ぐすっ、ぐすっ。うん…。ねぇクッキー、パパいつ帰ってくるの?」
クッキー「……待ってろ。今すぐ連れ戻すから。」
その時だったー。
ゴオオオオオ!!!!
クッキー「な、なんだ…?」
葉っぱの頂上から大きな音が聞こえた。
クリープ「何の音?」
ミルク「ねぇ、あそこ真っ赤だよ。」
葉の頂上を見つめるクッキーと子供達。
葉っぱの頂上は赤く光っていた。
ココア「なに…?なんなの…?」
ナッツ「ママーー!早く早く!!」
ナッツ「早く来て!大変大変!」
アーモンド「何?どうしたのよ?」
ナッツ「ベビーリーフがおかしいんだ!」
ナッツ達に呼ばれ駆けつけたアーモンドは葉っぱの頂上を見上げる。
アーモンド「何…?あの光は…?」
ナッツ「ピィ達大丈夫かな?」
その時ー。
ノエル「アーモンド!ナッツ!」
ノエルが子供達を連れて現れた。
ナッツ「ノエルだ!」
ナッツ「ノエル!帰ってきたんだ!!」
ナッツ「レェ達は?」
ナッツ「一緒にいるの誰?」
アーモンド「ちょ!ノ、ノエル!ちょ、ちょっと、これはどういう事?」
ブラウニー「降りてる途中凄い音が聞こえましたけど…。」
マフィン「何の音だったの?」
グミ「ぐぅ、ぐぅ…。」
ベビーリーフを見上げるノエル達。
ノエル「あそこは…まさか…。」
クッキー「あそこは…ボネの住処だ…。」
クリープ「大人達あそこにいるの…?」
ミルク「…パパ…パパ…。」
涙を流すミルク。
クッキー「大丈夫、大丈夫だ。今助けてやるから。」
ピィ「クッキーーー!!!」
クッキー「マカロン?!」
クリープ「あ、ピィ達だ。」
クッキー達の所へ5匹のマカロン達が走って現れた。
レェ「いったい何だ?!今の変なでかい音は。」
グゥ「大人達はここにいないんですか?」
クッキー「あぁ…。俺がここに来た時にはもう…。今の音は恐らく頂上からだ…。」
葉っぱの頂上を見上げるピィ達。
キィ「何?真っ赤だよ…。」
グゥ「な、なんかだんだん気温上がってきてませんか…?」
ブゥ「こ、怖い…。」
ピィ「あそこってボネの住処じゃない…?」
クッキー「あぁ…。」
ピィ「大変!急いで向かうわよ!」
グゥ「は、はいぃ。」
ピィ「クッキー!あなたはその子達と小人達を早く避難させて!」
クッキー「?!待てよ!俺も行くよ!」
ピィ「ダメよ!あの光は恐らくアップルの力よ!」
クッキー「え?」
ブゥ「そ、そういえば昔言ってたね。太陽の熱をどうとか…。」
キィ「アップルに何かあったのかな?」
ピィ「太陽の熱が収まらなかったらベビーリーフは燃えちゃうわ!小人達とあなたは梯子や茎が燃えたら避難できなくなっちゃうのよ?!それにココアは足が悪いんでしょ?早く連れてってあげて!迷ってる暇はないわ!」
クッキー「…く、くそ…。」
クッキーは子供達を抱えた。
ピィ「ありがとうクッキー。」
クッキー「…ミルクの父親あそこにいるかもしれないんだ。助けてやってくれ。ボネの事も頼んだ。」
ミルク「うっ…うっ…。パパ…。」
グゥ「ミルクちゃん大丈夫です。必ず助けます。」
クッキー「マカロン…。いや、ピィ…。危なくなったらすぐに逃げてくれよ。」
ピィ「ええ!」
クッキーは子供達を抱えて小人の住処へ。
ピィ達は頂上に向かって走っていった。
第30話 赤い光
おわり
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