マカロン 第27話 妄想の世界

絵本『マカロン』

虫の子供達と共に、屋根を完成させたピィ達。

今日はマフィン達の友達も一緒に小麦の収穫に向かう。

クリープ「どこにその小麦ってのがあるんだ?」

マフィン「皆んなで追いかけっこしてる葉っぱの近くにあったわ。」

ミルク「楽しみ~。私パンっていうの作りたい。」

グミ「ぐぅっ、ぐぅっ。」

クリープ「俺土の世界に行ってみたいな~。ベビーリーフじゃパンは作れないんだろ?」

ピィ「そうね。火なんて使ったらベビーリーフまで燃えちゃうし。」

その時、虫の大人達がピィ達の前に現れた。

レェ「なんだ?」

ミルク「あ、おばあちゃん。」

マフィン「ミルクのおばあちゃん達、どうしたの?」

虫「ミルク、その小人達と一緒に遊ぶんじゃない。」

ミルク「なんで?」

虫「そこの小人は長の使いだろ。私らをベビーリーフから追い出すために土の上に行かせようって考えだろ。」

クリープ「えー。俺土の上に行ってみたい。」

虫「バカ!土の上には恐ろしい武器を持った生き物達がいるんだよ!」

ピィ「ちょっと!それは勘違いよ!」

虫「全く長も卑怯な手を使うな。何も知らない子供達をたぶらかそうってんだから。」

ノエル「…!長はそんな事しません!身寄りのない子供達に葉っぱを与えてるじゃないですか!」

虫「とにかく帰るよミルク!クリープお前もだよ!」

大人達は子供達の腕を引っ張る。

マフィン「ミルク!クリープ!」

グミ「ぐぅ!ぐぅ!」

ミルク「やだやだ!私パン作りたい!」

ノエル「待ってください!僕は確かに小人だから信用してもらえないかもしれない。でも大人の都合で子供達の可能性を消さないでください!」

虫「バーカ。信用ならないやつから子供を守るのが大人の役目だ。」

ブラウニー「確かにそうですね。」

ピィ「あんたどっちの味方よ!」

ミルクとクリープは大人達に連れていかれた。

マフィン「ミルク…、クリープ…。」

涙ぐむマフィン。

ノエル「ごめんねマフィンちゃん…。僕が小人だから…。」

グゥ「ノエルくんは悪くないですよ。」

ブゥ「そうだよ。」

ピィ「とりあえず小麦を収穫したらノエルはマフィン達と住処に戻った方が良いわ。後は私達がなんとかするわ。」

グゥ「そうですねぇ。一旦作戦を立て直した方が良いですねぇ。」

ノエル「…わかった。」

ノエルは少し落ち込んだ表情で返事をした。

そして小麦を収穫した後ノエルとマフィン達は住処へ戻った。

残った5匹のマカロン。

キィ「何でノエル帰らせたの?」

ピィ「今の状態でノエルが虫達の住処をうろついてもかえって状況が悪化するわ。」

ブゥ「子供達をきっかけに、大人達にも信じてもらえれば良かったんだけどね…。」

レェ「直接土に行かないと難しくないか?俺だったら信じねえもん。」

ピィ「う~ん。困ったものね。」

悩む5匹のマカロン。

一方、葉っぱの頂上では、ボネが木の枝で作った家で眠りについていた。

ボネ「う…うう……。」

ココア「ボネ、大丈夫?ボネ。」

ボネ「わっ!わあああああ!」

バシ!

飛び起きたボネ。

自分を起こそうと近づいたココアの手を叩いた。

ココア「いたっ。」

ボネ「!!…ココア…。それにクッキー…。ご、ごめん。」

ボネが目を覚ますとココアとクッキーが側にいた。

ココア「私は大丈夫よ。それよりボネの方が心配よ。凄いうなされてたわ…。」

ボネ「…あぁ。ちょっと嫌な夢を見たんだ。それよりどうしたのさ?何か用?」

ココア「あのね…。」

フラン「ボネ!」

家の中にフランが入ってきた。

ココア「フラン。どうしたの?」

フラン「いや…。葉っぱの下で流れてる噂を聞いたんだ。なんでも最近虫の住処を、小人と太った虫達がうろついてるって。ベビーリーフの葉っぱは危ないから土に引っ越せとか呼びかけてるらしい。小人は長に使われてるやつで、自分達をベビーリーフからおいやる気だって。多分ノエルの事だ…。」

ボネ「ノエルが?」

フラン「全く…。何考えてんだあいつら…。」

クッキー「その噂は本当だ。実際にあいつらが呼びかけてる所を見た。」

ココア「私も一緒に見たわ。それにあの虫さん達、ベビーリーフの葉っぱはもう危ないから太陽の妖精と一緒に葉っぱを作ってたって言ってた。私達から太陽の妖精を奪おうだなんて考えてないって。」

ボネ「葉っぱを作る…?何それ?誰がそんな話信じるかよ。」

フラン「そういえばここに来た時も葉っぱを育ててたとか何とか言ってたな。」

ココア「土って世界には私達の知らない事が沢山あるって。皆んなにそれを教えたかったって。ノエルさんが…。…ボネと一緒に土の上で暮らしたかったって…言ってた。」

動揺するボネ。

フラン「ボネ…。一応聞くけど良いのか?このままじゃノエル虫達に何されっかわからねえけど…。」

クッキー「………。」

クッキーの脳裏にピィが浮かぶ。

ボネ「なんで?俺には関係ないよ。もう友達じゃないし。」

フラン「そうか……。」

ココア「嘘っ!本当は気になるんでしょ?もう一回会って話ちゃんとしてみよう?」

ボネ「会いたくもないよ。今更何話すのさ。ノエルが虫達に何かされたって自業自得じゃん。」

ココア「…もう。」

ボネ(ノエルが悪いんだ…。俺を置いていくからこうなるんだ…。)

複雑な表情でうつむくボネ。

そして、そんなボネの家の外ではアップルが眠ったまま吊るされていた。

ポツ…ポツ…。

ベビーリーフに雨が降ってきた。

キィ「わ!雨だ!」

ピィ「ちょっと、まだどうするか考えてないのに。」

レェ「仕方ねえ。俺達も戻ろうぜ。」

グゥ「そうですねぇ。」

バシャバシャバシャ!

雨の中を駆け足で行くピィ達。

その時だった。

虫「いたぞ!あいつらだ!」

キィ「へ?何?」

2匹の虫の大人達が現れた。

虫「お前ら最近小人と一緒にこの辺うろついてた虫だろ!」

虫「この裏切り者が!小人側について俺達を追い出して自分達だけ助かろってんだろ!」

ピィ「はぁ?!ちょっと何言ってんのよ!」

ブゥ「か、勘違いだよぅ。」

グゥ「噂がどんどん変な方向に行っちゃってますぅ~。」

虫「逃すな捕まえろ!とっちめてやる!」

ピィ「ダメだわ住処に戻るのはやめましょう!あそこにはノエルと子供達がいるわ!」

ブゥ「う、うん。」

レェ「おい散らばるぞ!」

グゥ「は、はい~。」

5匹のマカロンは散らばって走った。

虫「くそっ!おいあいつ追いかけるぞ!」

虫達はレェに狙いを定め追いかけた。

レェ「ゲッ!俺の方に来んのかよ!言っとくけど5匹の中では俺が一番足速いんだからな!」

バシャバシャバシャ!

レェは雨の中全力で走った。

しかしー。

ズルッ!

レェは雨で足を滑らせ葉っぱから落ちる。

レェ「わ、わあああああああ!!!」

レェの叫び声がピィの耳に届く。

ピィ「今のはレェの声?!捕まったの?!」

ピィはレェの叫び声が聞こえた方へ走っていく。

その頃虫の子供達の住処では、ノエル達が屋根の下で雨宿りをしていた。

マフィン「小麦も雨宿りするの?」

ノエル「そうだよ。乾燥させなきゃいけないからね。」

マフィン「乾燥って何?」

ノエル「乾かすって事だよ。」

マフィン「ノエル何でも知ってるのね。」

ブラウニー「乾燥なら僕も知ってるよ。」

グミ「ぐぅ、ぐぅ。」

マフィン「雨降ってきたけど…ピィ達帰ってこないね。」

ノエル「うん…。」

ノエル(ピィ達大丈夫だろうか…。僕のせいで…。)

一方、キィとブゥは同じ方向に逃げた為一緒にいた。

ブゥ「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…。な、なんとか逃げ切ったね…。」

キィ「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ…。そ、そうだね。あいつら誰を追いかけてったんだろ。」

ブゥ「一瞬だから確かじゃないけど、レェの方に走ってったように見えたよ。」

キィ「なんだ。レェなら足速いから大丈夫だね。」

ブゥ「う~ん…。だと良いんだけど…。それにしてもここどこだろう…。始めてきたよこんな所。」

キィ「だいぶ古い葉っぱっぽいよね。あ、ねえねえ。あっちで雨宿りしよ。こんな古い葉っぱなら虫達も住んでないだろうし。」

ブゥ「うん。そうだね。」

キィとブゥは古い葉っぱが集まる所へ向かった。

キィ「あ、あれ?」

ブゥ「ひっ!」

ポテヂィ「…ん?なんだお前達…。」

そこには、ボネの前の長であるポテヂィがいたー。

第27話 妄想の世界
おわり

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