5匹のマカロンの帰りを、雨宿りしながら待つノエル達。
マフィン「ねぇ。ノエルは昔この辺りで住んでたんだよね?」
ノエル「…ん?あ、うん。そうだよ。」
マフィン「そっかあ。じゃあ私達がこうやって出会ったのも運命だったのね。」
ノエルい熱い視線を送るマフィン。
ノエル「え?あ、あぁ…そうだね。」
ブラウニー「むっ。」
グミ「ぐひっ。」
ブラウニー「ノエルさんは長と知り合いなんですよね?」
ノエル「ボネ?うん…。友達だよ。」
ブラウニー「長ってどんな方なんですか?僕達会ったことないんです。」
ノエル「しっかりした良い子だったよ。僕がよく後先考えずに行動してた時、いつも止めに入ってくれてね。今思えば大変だったろうなあいつ。」
マフィン「何で仲悪くなっちゃったの?」
ノエル「…ある日僕がボネを置いていなくなっちゃってね。僕を助ける為に辛い思い沢山させてしまったんだ。」
マフィン「何でそれで仲悪くなるの?」
ブラウニー「やきもちやいたんじゃない?」
マフィン「は?」
ブラウニー「ノエルさんをピィさん達にとられたと思ったんじゃないの?」
ノエル「……。」
ブラウニーの言葉はノエルの胸に突き刺さった。
マフィン「何それ?よくわからないわ。あ!ちょっと待って!もしかして長って女の子?!」
ノエル「うん?男だよ。」
マフィン「あっ。な~んだ。ならやきもちやくわけないでしょ!バカね!」
ブラウニー「もう、マフィンにはわからないよ。」
グミ「ぐぅ、ぐぅ。」
マフィン「あ~ぁ。早く雨止まないかな。バームクーヘン作りたいな。」
ブラウニー「僕も早く飛行木作りたいよ。」
マフィン「どうやって作るのよ。」
ブラウニー「木の枝を繋げて羽を作るんだよ。屋根みたいに。」
マフィン「?屋根と飛行木って作り方違うものじゃないの?」
グミ「ぐぅ、ぐぅ。」
ノエルはマフィン達の会話をおとなしく聞いていた。
一方、古い葉っぱの中でポテヂィに遭遇したキィとブゥ。
ブゥ「…あ、あ、あわわわわわ…。」
キィ「おじさんこんな所で何してんの?」
ブゥ「キィ!ポテヂィだよ!ボネくんの前の長の。」
キィ「えっ?!そうなの?あの意地悪な?あたし初めて会ったかも…。」
ポテヂィ「お前達ここで何をしてるんだ?」
キィ「え、えっと…。」
ブゥ「そ、その道に迷っちゃって…。す、すぐに出て行きますから。」
ポテヂィ「お前達もあの小人に突き落とされたのか?」
キィ・ブゥ「え?」
ポテヂィ「ボネだ。今の長だ。あいつは私を突き落としたのだ。全く、恩を仇で返すとは…。」
キィ「おじさん動けないの?」
ポテヂィ「あぁ…。落ちた時に怪我をしてな。なぁお前達、私をここから上へ連れてってくれないか?」
ブゥ「…え…。」
ポテヂィ「一緒にボネを長から引きずりおろそうじゃないか。長とはいえ所詮小人。何の力もない。太陽の妖精がいてもこの雨だ。何の脅しにもならん。」
キィ「長から引きずりおろしてどうすんの?」
ポテヂィ「私がまた長になるのだ。そして私達虫を苦しめた小人達に仕返しをする。どうだ?」
ブゥ「し、仕返しって…。」
キィ「それは嫌だよ!あたし達小人と友達だし。」
ポテヂィ「何バカな事を言ってるんだ。やつらは太陽の妖精を手に入れていい気になってる。ボネなんざ昔は何でもいいなりになってたくせにな。口答えもしないし顔色ばかり伺って、楽しませてくれるやつだったよ。ほんの少しのご褒美に太陽の妖精を捕まえる道具を貸してやったら、まさか本当に捕まえやがって…。その途端態度一変して私を突き落としやがった。絶対に許さん。」
ブゥ「…あ…当たり前だろバカヤローー!!!!」
叫び出すブゥ。
キィ「ひっ!」
ポテヂィ「ああん?」
ブゥ「弱い者いじめしてそんなに楽しいのかよ!?無抵抗な生き物いじめてそんなに楽しいのかよ!?そんなくだらない事が楽しいだなんて可哀想になぁ!遊び方も知らないなんて、誰も何も教えてくれなかったんだろ?!」
キィ「ブ、ブゥ…。」
ブゥ「僕は絶対にノエルくんにそんな事しないし虫の子供達もお前みたいな大人になんてしない!お前がボネくんにした事は絶対に許さない!一生そこで寝てろ!!行くよキィ!」
キィ「う、うんっ!」
ブゥとキィはポテヂィの元を去った。
ポテヂィ「………あの野朗…。許さねえ…。」
キィ「ブゥ待ってよ!歩くの速い~。」
早歩きのブゥ。
ブゥ「…あ。ごめん…。ついカーッとなっちゃって…。」
キィ「ブゥって怒ると怖いよね。レェにキレた時もそうだったけど。」
ブゥ「僕も舐められやすい性格だから、ボネくんの事他人事に思えなくて…。ごめんね。変な所見せて。」
キィ「何言ってんの?ブゥかっこよかったよ。」
ブゥ「え?そ、そう?」
キィ「うん。かっこよかったよ。」
その頃、足を滑らせ落下したレェはー。
レェ「う…うぅ…。」
クッキー「気がついたかマカロン。」
レェ「う…うぅ。ここは…。」
目を開けると目の前にはクッキーがいた。
レェ「!!??」
クッキー「マカロン……久しぶりだな。俺だ、わかるか?」
レェ「…へ?(で…でけえ…。なんだこいつ…。)」
クッキー「大丈夫か?怪我してないか?」
レェ「え、え、あぁ。あれ?もしかして俺を助けてくれたのか?」
クッキー「あぁ。ここならもう大丈夫だ。虫達は追ってこない。」
レェ「そ、そうか。サ、サンキュー。」
クッキー「…?お前なんだか雰囲気変わったな。」
レェ「は、はい?」
その時ー。
ココア「クッキー!」
ココアが現れた。
レェ「あ!お前は!」
ココア「良かった。気がついたのね。」
レェ「な、なあ。ココアだっけ?ここはどこなんだ?」
ココア「ここは葉っぱの一番上よ。あなたが倒れてるのをクッキーが見つけてここまで運んで来たの。」
レェ「そ、そうか。……ん?クッキー……。って、あーーー!!」
クッキー「ど、どうした?」
レェ「お前もしかしてピィの友達か?」
クッキー「ピィ…?」
レェの言葉にココアが気がつく。
ココア「……あ!クッキー、この子ピンクさんじゃないわ。見た目も色も似てるけど。」
クッキー「えっ?」
ココア「皆んなで5匹いたじゃない。この子は別の子よ。」
クッキー「お前、マカロンじゃないのか?」
レェ「いや俺もマカロンだけど、お前の友達のマカロンは別のやつだよ。」
クッキー「な、なんだ…。マカロンの仲間だったか…。」
レェ「そんなガッカリした顔するなよ。サンキュー。助けてくれて。お前達知り合いなのか?」
ココア「えぇ。昔クッキーがピンクさんを探してた時に知り合ったの。私もちょうど緑さんを探してて。」
クッキー「茎を登ってる時に滑り落ちて怪我をしてな。ココアが見つけて助けてくれたんだ。それからは葉っぱのずっと奥で、ひっそり暮らしてる。」
レェ「ピィ…じゃなくて、ピンクのマカロンもあんたの事探してたぜ。」
すると、クッキーの大きな体の背後からあるものが目に入った。
レェ「…!!ア、アップル!!」
目線の先には、木の枝にくくりつけられているアップルがいた。
レェ「な、なんて事しやがる!誰がこんな事…。おい!お前でかいんだから届くだろ?助けてやってくれ!」
クッキーにアップルを解放するよう訴えるレェ。
しかしー。
クッキー「………。」
黙り込み、何もしようとしないクッキー。
ココア「クッキー…。」
そしてその時ー。
ピィ「レェ!!」
レェ「ピ、ピィ!」
レェ達の所にピィが現れた。
ピィ「探したわよ!あんたの叫び声が聞こえた所に誰もいないし。あんたのでかい声追ったらここに辿り着いて…。」
話してる途中、ピィの視界にクッキーが入った。
ピィ「……クッキー…?…でか…。」
クッキー「マカロン……。」
第28話 許さない
おわり
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