アーモンド「アップル…?なんでこんな所に?」
アップル「ちょ、ちょっとね。この長靴の中に入ったら転んで羽を傷つけちゃってさ。マカロン達が助けに来てくれたんだけど一緒に出られなくなっちゃって。」
アーモンド「そうだったの…。ねぇマカロン!私よ!覚えてない?昔一緒に働いたじゃない!」
アップル「そうなの?」
ピィ「そうなの?」
レェを見るピィ。
レェ「オレ知らねえよ!」
そう言った後にキィをチラッと見るレェ。
キィ「あたし知らないよ?」
グゥ「ブゥさんお知り合いですか?」
ブゥに尋ねるグゥ。
ブゥ「僕も知らないよ?」
アーモンド「‥‥‥。はぁーー‥‥。」
がっかりした表情でため息をつくアーモンド。
アーモンド「そうよね。だいぶ昔の話だものね。あなた達5匹ある日働いた後にいつもの葉っぱの上で寝てたら、そのままを姿を消して帰って来なくなったんだもん。」
ピィ「え、え??どういうこと?」
アーモンド「ちょっとついて来なさい。」
歩きながら昔話を始めるアーモンド。
アーモンド「あなた達はよく寝る生き物だったわ。とある葉っぱを気に入って、そこを布団にして寝ていたの。その葉っぱは見る見るうちに伸びていってね。ある朝起きたらあなた達は姿を消してたわ。」
レェが開けた穴にたどり着くアーモンドとピィ達。
アーモンド「ほら、あれがあなた達が寝ていた葉っぱよ。」
キィ「あれってベビーリーフかな?」
ピィ「多分私達が暮らしてた所ね。なんだか変な気分。」
アーモンド「ベビーリーフ?」
ピィ「私達が住んでたあの葉っぱの名前よ。」
グゥ「僕の寝床どこにありますかねぇ。」
レェ「知らねえよ。しかしこうやって見ると小さい世界だな。」
アーモンド「昔はもっと葉っぱが多かったから広かったはずよ。緑豊かで綺麗だったわ。ちょうどあなた達がいなくなってから緑が減り始めたんだけどね。」
ピィ「確かに昔は辺り一面緑だったわ。今はスカスカで空が見えちゃってるけど。」
その時。
小さな妖精達「あ、ママだ!どこ行ってたの?」
アーモンド「ごめんごめん。」
小さな妖精達がアーモンドの所へ駆け寄ってくる。
小さな妖精達「ずるい!ナッちゃん達に仕事ぶん投げて自分はサボるなんて!」
グゥ「この子達は?」
アーモンド「この子達はナッツ。私と一緒に土を耕して植物を育ててる妖精達よ。」
ナッツ「ナッちゃんて呼んでね♡」
レェ「ケッ。」
ブゥ「ねぇアーモンドさん。僕達5匹は一緒に生きてたの?」
アーモンド「そうよ。あなた達も一緒に土を耕して植物を育てていたのよ。あなた達がいなくなってからナッツ達が産まれて、代わりに土を耕していたんだけどね。でもここ最近天気が悪くてますます植物が育たないのよ。だから食料にも困ってて。」
キィ「葉っぱが減ってるのはあたし達が食べてるのだけが原因じゃないのね?」
ナッツ「え、葉っぱ食べてるの?」
ピィ「ごめんなさいね。あなた達が一生懸命育ててる葉っぱ、私達葉っぱの上で暮らす生き物達の食料なの。食料だけじゃなく、色んな事に使われてるの。」
ナッツ「な、なんだってー!ナッちゃん達がせっかく育てた葉っぱを!」
レェ「なんだあ!やる気かチビども!!」
アーモンド「やめなさい!」
ポツ…ポツ…
ブゥ「あ、雨…。」
アーモンド「またあ?本当参っちゃうわね。この間も強い雨が降ったし。」
ピィ「とりあえず長靴の中へ!」
長靴の中に入るピィ達とアーモンド、そしてナッツ。
ナッツ「ん?なに?このでかい穴?」
ピィ「雨が降った時、水を溜めておくように皆んなで掘ったの。ほら、ここに生えてる葉っぱ達がうまく雨を落とすの。」
アーモンド「え!この長靴の中に葉っぱが生えてるの?!」
ピィ「気づいたら結構生えてたわ。」
ナッツ「ママ、ここの土暖かいね。」
アーモンド「そうね。」
アップル「ねぇねぇ。外に出られるようになったんだから、あんた達帰れるんじゃない?」
キィ「あ!そうだね!帰れるじゃん!」
グゥ「そういえばそうですね!」
レェ「お前らオレに感謝しろよ!」
ブゥ「でもあの高さまでどうやって登る?僕達ちょっとしか飛べないし…。」
ピィ「ダイエットから始める?」
アーモンド「え…。あなた達、帰るって、あの葉っぱに?」
グゥ「はい。そうですけど…?」
アーモンド「帰らない方が良いわよ!」
ブゥ「どうして?」
ナッツ「あの葉っぱ、もう古いからそろそろ枯れ果てるか倒れてくるよ。」
ブゥ「そ、そんな…。」
レェ「なんだって…。」
アーモンド「それに、葉っぱの住民達がベビーリーフを食料にしてるなら、葉っぱが無くなってしまってどっちみち先はないと思うの…。」
グゥ「な、何か方法はないんですか!?ベビーリーフが蘇る方法は!」
アーモンド「生き物には寿命があるわ。植物もそう。太陽の光と水を与えて、葉っぱを食料にしなかったとしても、そう長くは…。」
マカロン達「………。」
ピィ(クッキー……。)
愕然とするマカロン達。
するとアップルが。
アップル「この長靴の中の土は良い土なの?」
アーモンド「ええ。こうやって芽が出てるしね。」
アップル「ならさ、ここの葉っぱを育てて、そこに移り住めば良いんじゃない?」
グゥ「そうか…、それならベビーリーフの皆さんを避難させる事ができますね。」
ブゥ「うん…。でも…ベビーリーフは…。」
キィ「…もうベビーリーフに住めないの…?」
泣き出しそうなキィ。
アーモンド「泣かないで、マカロン…。」
ピィ「アーモンドお願い。葉っぱの育て方を教えてちょうだい。私昔のこと覚えてないから、土の事も忘れてて…。」
アーモンド「ええ良いわよ。私達も食物が育たなくて困ってたし。ここの土を使って一緒に育てましょう。」
キィ「……。」
ショックからか、キィの目から涙がこぼれ落ちる。
そんなキィに寄り添うピィ。
ピィ「泣かない泣かない。自分達が育った所がなくなってしまうなんて嫌だけど…。でも落ち込んでる時間があるなら、出来る事をやりましょ…。その後に沢山落ち込みましょう。」
キィ「……う、うぅ………。」
第9話 ふるさと
おわり
コメント