虫の子達の住処に現れたココア。
レェ「お前…何しに来た?」
ココアを警戒するレェ。
ココア「さっきフランに会ったの。いろいろ聞いたわ。」
マフィン「ここは私達の住処よ!勝手に入らないで!ブラウニーあんたも何か言いなさいよ!」
ブラウニー「お、女の子だ…。」
ボソッと呟き顔を赤くするブラウニー。
ピィ「待って。この子は私達を守ろうとしてくれたわ。まずは話を聞きましょう。」
ココアは気まずそうに話し始めた。
ココア「…お願い。太陽の妖精を連れてかないで。」
ピィ「え?」
ココア「あなた達太陽の妖精を連れ戻しに長靴の中から来たんでしょ?」
レェ「はぁ?おいおい、何でそんな話になってんだよ。」
ココア「だって、太陽の妖精がいなくなってあなた達も困ってるんでしょ?でも連れ戻されたら私達も困るの。太陽の妖精を捕まえてから、少しだけど葉っぱが元気になったの…。だから…お願い…。」
頭を下げるココア。
そんなココアに、グゥが近づき語りかける。
グゥ「ココアさん、頭を上げてください。」
グゥの言葉にココアは頭を上げ、グゥの顔を見つめる。
グゥ「僕達は確かに太陽の妖精の仲間…アップルさんの友達です。長靴から来たのは、アップルさんに会う為でもあります。でも勘違いしないで欲しい。僕達は君達からアップルさんを奪おうなんて考えていない。信じるか信じないかはお任せします。ただ、思い込みで人生棒に振らないようにね。一部を見ただけで全てを決めつけると損をします。」
ココア「……。」
ココアは立ち上がり、考え込む。
ピィ「ねぇ、葉っぱに元気がないって事はわかってるのね?」
ココア「え、えぇ。」
ブゥ「僕達長靴の中で葉っぱを作ってたんだ。ベビーリーフの葉っぱはもう危ないから、皆んなを避難させようと、アップルも一緒に葉っぱを育ててくれてたんだ。」
ココア「…え?葉っぱを作るって…?」
キィ「葉っぱは作れるんだよ~。ね、ノエル。」
ココアはノエルを方を見る。
ノエル「…僕達が長靴の中で葉っぱを育ててた事は本当だ。…ベビーリーフの為に。ベビーリーフにいたらわからなかった事が、土の上には沢山あった。皆んなにそれを教えたかった。ボネ達と…土の上で暮らしたかった…。」
ココア「……ボネ…。」
ココアはノエルに話し始める。
ココア「ボネは…あなたがいなくなってからベビーリーフをひたすら走り回ってたわ。風邪も治らないまま。入っちゃダメな葉っぱにまで行って、その度に酷い目にあって…。フランや他の小人達が止めても、ずっとあなたを探し続けていた。」
ノエル「……!」
ココアから語られるボネの話に、ノエルの表情が変わる。
ココア「私と出会ったのはその時だった。私が虫達に虐められてる時、木の枝で追い払ってくれた。私もそこの緑の虫さんを探してたから、きっと太陽の妖精の仕業だと思ったー。」
ココア「ボネはそれからポテヂィのとこまで行ったの。あなたを助ける為、太陽の妖精を捕まえる為、何か道具を貸してくれってー。小人達は辞めといた方が良いって言ったのに…。」
ココア「ボネはポテヂィの所から帰って来なかったー。虫達にまで嫌われるような汚くて卑怯なポテヂィよ。何があったかなんて…大体想像がつくわ…。おもちゃ同然よ…。ボネは何も言いたがらないし…。」
ココア「ボネが長になった時、ポテヂィは行方不明になってた。そして太陽の妖精を人質にして、私達小人を葉っぱの上に住ませ、虫達を下へ追いやった…。自分を虐めた虫達、ポテヂィの事もあって、もう虫と関わりたくないって…。」
ココア「でも虫の子供達に罪はないから、せめてもの気持ちでここの陽当たりの良い葉っぱを与えたの。私にもこの洋服を与えてくれた…。虫達から見たら悪い人なのかもしれない…でも…優しい人なの…。」
ココアはノエルに話す。
ココア「…ノエルさん。ボネを…助けてあげてね。ボネはずっと苦しみ続けてる。ボネを助けられるのはノエルさんだけだと思う。ボネはノエルさんの事大好きだから…。大好きだから、許せなかったの…。」
ノエル「…………。はい。」
ノエルは静かに返事をした。
レェ「つっても難しそうだな。完全にシャットアウトだったし。聞く耳持たない感じだったぜ。」
ピィ「意地ありそうな子だったわよね…。」
ノエル「僕達ベビーリーフの住民は無知で生きてる世界が狭いんだ…。グゥの言った通り、思い込みで判断してしまう。そこをなんとかしよう。」
キィ「なんか難しそうだけどやってみよう♪」
グミ「ぐうぅ~。」
ノエルはココアに言う。
ノエル「ボネの話聞かせてくれてありがとう。…ボネの事…しばらく頼んでいいかな…?僕は当分の間近づけなさそうだ…。」
ココア「えぇ…。」
マフィン「むっ。」
ココアはマフィンとブラウニー、グミに向かって話す。
ココア「ごめんね。勝手にあなた達の住処に入ってきて。」
グミ「ぐひっ。」
マフィン「用が済んだのならはやく帰ってくれない?!」
ココアに対して顔を赤くするブラウニー。
ブラウニー「い、いいえ…。とんでもないです…。」
レェ(なあ。あのメガネ、ココアってやつに惚れたのか?)
ピィ(私はあのマフィンって子が好きなのかと思ったんだけど。女の子なら誰でも良いのかしらね。)
レェ(ぷっ!アーモンドにでも同じ反応すんのかねぇ。お見合いさせてみたいもんだな。ガハハッ。)
グゥ(お二人ともぉ、やめましょうよぉ。)
ココアは虫の子供達の住処から去っていった。
ノエル「…ボネ。ごめんね…。僕を助ける為に、1人でずっと辛い思いさせて…ごめんね…。」
ブゥ「ノエルくん…。」
ピィ「あれ?そういえばあのココアって子足悪いって言ってなかったっけ?よくこんな下の隅っこの葉っぱまで来たわね。」
グゥ「そう言われてみればそうですねぇ。」
虫達の住処から戻ったココア。
向かった先にはクッキーがいた。
ココア「ごめんね。待たせて。」
クッキー「良いよ。」
ココア「良いの?あのピンクさんに会わなくて?ずっと探してたんでしょ?」
クッキー「…俺はボネと一緒で強くない。今のマカロンを信じて良いのかわからない。だから、お前と一緒にあいつらの行動を見てようと思う。」
ココア「そう…。ねぇ、クッキー。ちょっと星見ていかない?」
クッキー「あぁ。」
クッキーはココアを担ぎ、葉っぱの上へと戻って行く。
ココア「…私ね。太陽の妖精の事を置いておいたら、あの虫さん達悪者ではないと思う。」
クッキー「…あぁ。」
ココア「私にはなんだかんだ、緑の虫さんやクッキーや、優しくしてくれる虫達がいたもの…。でもボネは虫に対して嫌な思い出しかないから…ね…。」
クッキー「…あぁ。」
ココア「誰かを傷つけるって、そんなに簡単な事なのかな?誰かに優しくするって、そんなに難しい事なのかな?」
クッキー「…あぁ。」
星を見ながら、ココアは切なげに語っていたー。
第24話 ボネ
おわり
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