◆前回のあらすじ◆
ティコやトナ、ミザールは、今回の琴立騒動がカメレオンのアルファーの仕業である事を知る。
一方、コンフェイトにはプロキオンとミューを見るため沢山の観光客が訪れていた。地下室にふたりを迎えに行った町長。しかし牢屋の中は空になっていた。
プロキオンとミューが牢屋から消えた頃、ティコはベガにロアンが帰って来ないことを話す。
ベガ「ロアンが町長に捕まった?!」
ティコ「うん、多分…。プロキオンがいる部屋の鍵を探しに行ったまま帰って来ないんだ。もし自分が戻って来なかったら、星の界に帰れって…。舞踊会に出なきゃいけないんだからって…。でも…でも…。」
ベガ「大変!すぐに助けなきゃ!」
ティコ「う、うんっ。ベガならそう言うと思った。」
ベガの言葉に安心するティコ。
ベガ「あの子には助けてもらったし。それに…なんか放っておけなくて。」
ティコ「何で?」
ベガ「私、お母さんに似てるんだって。それ聞いて、何だかムネがギュウってなって…。」
ティコ「そっか……。」
その頃、星空の下、ボロボロの建物の前でロアンは一人眠っていた。
ロアンの母「ロアン、綺麗な建物でしょう?」
ロアン「うんキレー!」
ロアンの母「ここでお母さんとお父さん結婚式あげたのよ。」
ロアン「お母さんお父さん好き?」
ロアンの母「うん!優しくて大好き!」
ロアン「ロアンもお父さん好きぃ。ロアンもお父さんと結婚する~。」
ロアンの母「あら!じゃあお母さんとライバルね!ふふふ!」
静かに目を覚ますロアン。
ロアン「お母さん…。お父さん…。」
顔を上げ、周囲を見渡す。
ロアン「ここは…教会…。私町長に捕まって…。…いてっ。」
ロアンは体を縛られ動けなくなっていた。
ロアン「はぁ…。マジか…。…何やってんだろ…私…。…ティコ…逃げれたかな…。」
一方、牢屋から脱出したプロキオンとミュー。
プロキオン「くっくっくっ。町長もまさか羽を使って鍵を開けたなんて思いもしないだろうな。」
プロキオンはミューの羽をねじって鍵を開けていた。
ミュー「これで舞踊会に出られるわ。んで、出口はどこ?」
プロキオン「そんなの僕も知らないよ。それに、出口探す前にティコと合流しないと。」
ミュー「はあーーん?あのヘタレならどうせベソかいて星の界に帰ってるわよ。探すだけ無駄無駄。」
プロキオン「そんな事ないさ。ティコは内気だけど、それを補えるくらい良いとこあるんだよ。それに、ティコの匂いがするんだ。きっと僕を探しに来てくれたんだ。」
町長「ほう。私の匂いはしなかったのかな?」
後ろを振り向き固まるプロキオンとミュー。
プロキオンとミュー「ちょ、ちょ、ちょ、町長…。」
町長「心配したよ。突然いなくなるんだから。さっ、ご飯の用意ができたよ。お腹減っただろう。高級ドックフードと人参沢山あるからね。」
ミュー「人参?!んなもんいらないわよ!」
町長「あ、そうだ。君の目にくっついていた大きな毛束も洗って綺麗にしておいたから。」
ミュー「え!本当?!」
すると、突然ミューの髪の毛を引っ張り走り出すプロキオン。
プロキオン「逃げるぞ!」
ミュー「いだだだだ!!ちょっと引っ張らないでよ!つけまつげ返してもらわないと!」
プロキオン「そんなの罠に決まってるだろ!」
逃げたプロキオン達を追いかけようとする町長。
町長「くそっ。失敗か…!このままじゃ逃げられてしまう…。そうなったら今夜の祭りは…。」
観光客「ちょっと!喋る犬とペガサスは?!話が違うじゃない!」
観光客「よくも騙したな!せっかく遠くからここまで来たのに!」
観光客「旅費返してよ!この詐欺師!もう二度とこの街に来ないわ!」
町長「ま、まずいまずいまずいまずいずいまずい………。」
青ざめる町長。
町長の目に壁にあるレバーが目に入る。
町長「くそ…。くそおーーーーーーー!!!絶対に逃がすものか!!!」
町長はレバーを下げる。
ゴゴゴゴゴゴゴ…
地下室に振動が。
プロキオン「ん?なんだ?」
ミュー「地震?」
ドドドドドドドドド!!!!
地下室の天井が空き、大量の水が叩き落ちるように流れてくる。
プロキオンとミュー「わ、わあああああああああ!!!」
あっという間に流されるプロキオンとミュー。
その波は別の場所にいるティコとベガにも襲い掛かる。
ティコ「な、何…?この振動と音?」
後ろを振り返るベガ。
ベガ「ティコ!水が!」
二人は突然押し寄せた水に一気にのまれる。
ティコ「わああああ!」
ティコは壁にぶつかる。
壁にあった僅かな取っ手に捕まるティコ。
ティコ「ベガ!」
ベガに手を伸ばすティコ。
ベガ「ダメ!ティコ!届かない!」
そう言っている間にベガは流されていってしまった。
ティコ「ベガ!」
取っ手から手を放し、ベガを追いかけようとするティコ。
しかしティコはベガと違う方向へ流されてしまう。
ティコ「くそ!こっちじゃない!」
流れに逆らおうともがくティコ。
しかし波の勢いは強く、ティコはあっという間に流されていく。
ティコ「くそぅ…。ベガ…ベガ…。プロキオン…。ロアン…。みんな…みんな僕がしっかりしてればこんな事には…。」
ザバーーー!!
ティコは地下室の外へ流された。
ティコ「ぶは!」
ティコは辺りを見回す。
ティコ「ここは?!…外?!」
ロアン「ティコ?!」
ティコが流れ着いた場所は、ロアンがいるボロボロの教会だった。
ティコ「ロアン?!」
ロアン「ティコ…どうしてここに…?」
縛られているロアンに気づき、助けようと駆け寄るティコ。
ティコ「ロアン!ロアーン!」
すると背後から突然ティコの手を掴む者が…。
町長「ちっ…。流されてきたのはお前か…。もうこの際お前でいい。」
第12話 絶対絶命⁈
おわり
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