◆前回のあらすじ◆
内気なティコはなかなか行動できず、琴立探しに苦戦する。
そんなティコに痺れを切らし、珍しいものが好きなコンフェイトの町長の前で喋ってしまったプロキオン。
その日の夕方、ティコから離れ指揮棒を探しに行ったプロキオンは何者かに捕まってしまう。
コンフェイトの空はすっかり暗くなっていた。
ティコ「プロキオーン!返事してー!プロキオーン!」
指揮棒を探しに行ったまま帰って来ないプロキオンを探すティコ。
ティコ「プロキオンどこ行っちゃったの…。」
青ざめるティコ。
ティコ「おかしい…。プロキオンなら鼻が利くからすぐに見つけるはず…。それともどこか遠くに落としちゃったの…?」
カーーン
ティコの足に何かが当たる。
ティコ「これは…。プロキオンの…。」
プロキオンの指揮棒を震えながら手に取るティコ。
ティコ「プロキオンに何かあったんだ…。ど、どうしよう…。僕一人じゃ何もできない…。」
夜空を見上げるティコ。
ティコ「そ、そうだ。星の界に戻ってトナ達に助けを求めよう。…でも凄い時間かかるし…、その間にプロキオンに何かあったら…。と、とりあえずあっちの方も探してみよう。」
一方、星の界ではトナとミザールと舞組の一部が練習のため集まっていた。
舞組「ちょっと~。まだ2人来ないの?とっくに時間過ぎてるんだけど。」
ミザール「ごめんなさい。私達もずっと探してるんだけど…。」
舞組「これじゃ合わせられないじゃない!本番近いのにどうするの?!」
トナ「ちょっと待ってよ!こっちばっか責めてるけど、舞組こそミューはどうしたのさ?!」
舞組「あいつがサボり常連なのはわかってるだろ?」
トナ「ほら!こっちの事言えないじゃないか!」
ベガ「ちょっとあなた達何ケンカしてるの?」
トナ「ベガ!ティコとプロキオンがまだ見つからないんだ。」
舞組「ついでにミューも。」
ミザール「このままじゃ合わせられないわ。ベガの方はあれからどうだった?」
ベガ「え?」
ミザール「ティコ達探してくれてたでしょ?」
ベガ「あ…。ま、まだ見つかってないわ。」
トナ「そっか…。本当どこ行っちゃったんだろ。」
ベガ「私もう一度探しに行ってくるわ。」
ベガはその場から立ち去った。
舞組「全く、皆に迷惑かけて。ベガだって練習できないじゃないか。」
トナ「ミューだって一緒だろ!」
ミザール「それにしてもベガ余裕あるわね。」
トナ「何が?」
ミザール「本番近いのに、練習しないでぶらぶらして。」
トナ「ベガは優しいからね。ティコ達見つける方を優先してくれてるんだよ。」
ミザール「そうかもしれないけど…。」
舞組「なんだ?美人の粗探しか?僻むなよ。」
ミザール「うるさい!!!!!」
コンフェイトの夜。
一人ボロボロの建物の前で佇むロアン。
ロアン「……………。」
その時、遠くで光る何かが目に入る。
ロアン「…?なんだ?」
光に近づいてくロアン。
ロアン「!!!!!」
羽の生えたティコに驚くロアン。
ティコ「!!!!!」
ロアンに気づき、羽を隠すティコ。
ティコ「あ…、あ…。」
ロアン「…羽…。」
ティコ「そ…その…。お願い、誰にも言わないで。」
ロアン「あんた……。」
ティコ「そ、その…、僕は…。」
ロアン「…。あの話…本当だったんだ。」
ティコ「え?」
ロアン「…あの犬はどうした?」
ティコ「プ、プロキオン…指揮棒探しに行ったまま帰ってこないんだ。見かけなかった?」
ロアン「見てない。」
きっぱりと冷たく言い放つロアン。
ロアン「だから言っただろ。喋るなって。自業自得だ。何かあったんだろ。…で、あんたは羽出してどうすんの?あんたも危ない目にあいたいわけ?」
ティコ「ち、違うよ。友達に助けを呼びに行こうと思って…。」
ロアン「友達?」
ティコ「うん…。僕一人より、皆で探した方がいいかと思って…。」
ロアン「じゃあ今度はその友達が危険な目に合うね。」
ティコ「…あ…。」
ロアン「一人で何とかしようって気はないの?」
ティコ「で、でも…僕一人じゃ…。」
ロアン「甘えんな!!!」
ティコ「…!」
ロアン「あんた、ちょっとでも戦ったことあるか?!あの犬に世話焼いてもらってばっかで!そんであの犬がいなくなったら今度は別の友達の世話になる気か?!」
ボロボロの建物に目をやるロアン。
ロアン「この教会を見ろ。昔この街に隕石が落ちてきてこんなになってしまった。人だって沢山亡くなった。私のお父さんも。」
ティコ「…!」
ロアン「頼る人も、助けてくれる人も、急にいなくなった。家族は私だけになった。でも受け入れるしかなかった。強くなるしかなかった。自分に言い聞かせながら前に進むしかなかった。私だけじゃない、この街の皆そうだ。諦めるしかなかったんだ。」
ティコ「ご…ごめん…。」
ロアン「何がごめんなんだ?自分を守るために言ってんだろ?!琴立だか何だか知らないけど、あんたみたいな腰抜けにその人を救えるもんか!とっとと逃げれば?!」
走り去ってくロアン。
たどり着いた木の陰に隠れるように座り込む。
幼きロアン「お母さん起きて。ねえ起きて。お父さんお薬とって帰ってくるよ。お母さんの事絶対助けるから待っててって言ってたでしょ。起きてなきゃダメだよ。早く絵本読んで。ねぇ、何で起きないの………?」
ロアン「…お母さん……お父さん………。」
一人になったティコ。
ティコ「…ひっく…ひっく…。う…うぅ…。」
ロアン「あんた、ちょっとでも戦ったことあるか?!」
ティコ「プロキオンもベガも僕の憧れだよ。」
プロキオン「できない事ばかり探してないで、できる事を探そう。」
ティコ「…。プロキオン……。」
ティコ「…待っててね。今度は僕が助けるから。」
一方……。
「プロキオン、プロキオン!」
プロキオン「うぅ……。」
「プロキオン起きて!」
プロキオン「う……。こ、ここは……?」
何者かの声で目が覚めたプロキオン。
プロキオン「あ、あれ……。僕は一体…。」
「やっと目を覚ました!」
プロキオン「わーーーーーーー!!!!!」
第6話 決意の星空
おわり
コメント