◆前回のあらすじ◆
街で琴立を探すティコ達。
昔コンフェイトに隕石が落ち、街の大半と多くの住民が亡くなった事を知る。
ロアンの父親もその犠牲者の一人だった。そして事故の後、ロアンの母も病気で他界してしまった。
琴立を探しコンフェイトの探索を続けるティコとプロキオン。
町民「そうそう、朝早く走っていったわよ。」
町民「町長が?」
町民「なんか凄いの手に入れた~とかって。」
町民たちの会話に足を止めるティコ。
町民「キラキラ綺麗に輝くものとかなんとか。」
ティコ・プロキオン「!!」
町民「でもあの町長結構ガラクタ拾ってくるからねえ。」
プロキオン「ティコ!詳しく話を聞いてみよう!」
ティコ「あ…、でも…キラキラ光るものなんていっぱいあるし…。」
プロキオン「違ったとしても聞いてみよう!」
ティコ「う…。えっと…。」
町民「あらもうこんな時間!」
町民「あらやだ本当。やーねー。早く家事終わらせないと。町長の話になると止まらなくなるわ。オホホ。」
町民たちは家へと入っていった。
プロキオン「あ~もう。行っちゃった。」
ティコ「あ…。ご、ごめん…。」
プロキオン「まあいっか…。確かにベガの琴立は綺麗だけど、珍しいものかって言われると微妙なとこだし。」
ティコ「う、うん…。」
プロキオン「あ!そうだ!また町長の屋敷に行ってみない?その珍しいもの直接見せてもらおうよ!」
ティコ「え!えぇ…。でも…。」
プロキオン「ティコ~、そんなんじゃいつまで経っても見つからないよ?」
ティコ「う…うん…。そうだけど…。」
プロキオン「はい決まり!」
ティコ「…?」
プロキオン「ん?どうしたの?」
ティコ「あ…。いや…何でもない…。」
町長の屋敷にやって来たティコとプロキオン。
プロキオン「さっ!入ろうか!」
ティコ「…。」
石のように硬直するティコ。
プロキオン「ティコ!しっかり!」
ティコ「な、何て言って入ろう…。」
プロキオン「そんな難しく考えなくていいよ。珍しいもの拾ったって聞いたから見せて~でいいんじゃない?」
ティコ「そ、そうか。」
するとその時。
町長「君、ここで何してるんだ?うちに何か用かい?」
ティコ「わ!」
町長「あれ?もう一人話し声が聞こえた気がしたんだけど気のせいかな。」
ティコ「き、気のせいです。」
町長「いや~。確かに聞こえた。…君、もしかして独り言言ってたの?」
ティコ「あ…えっと…。はい…。」
町長「はあ~…。わかるよ、独り言言いたくなる気持ち。きっと疲れてるんだ。君もまだ若いのに苦労してるんだね。」
ティコの服を引っ張り目配りするプロキオン。
ティコ「あっ、えっと…。め、珍しいもの見せてください。」
町長「ん、珍しいもの?なんだね急に。」
ティコ「えっと…、何だっけ…。」
プロキオン(ティコ~…。)
町長「あ!!さては君!私が手に入れた珍しいものを横取りする気だな!」
ティコ「あ…、えっと…、それは…。」
町長「やっぱり!ダメダメ!あれだけは絶対渡さん!見せるのもやなっこった!さ!帰った帰った!」
屋敷に入ろうとする町長。
ティコ「あ…、あ…。」
すると、痺れを切らしたプロキオンが…。
プロキオン「ちょっと待ってください!!」
町長「んん??」
ティコ「プロキオン…!」
プロキオン「僕たちキラキラ輝く琴立を探してるんです!僕たちの友達の大切なものなんです!もし持ってるんだったったら返してください!」
町長「い、犬が喋った…。」
固まる町長。
ティコ「プロキオン…いいの?」
プロキオン「だって、この調子じゃ祭典に間に合わないよ!」
町長「そ…その…。琴立とかってのは持ってないよ。別に珍しくもないし…。それより何でその犬喋るんだ…?」
プロキオン「持ってないなら失礼します!」
その場を立ち去るプロキオン。ティコも後を追って去っていく。
町長「す、凄い…。どうしたんだ…。とてもついてる…。星に願い続けた甲斐があったー…!」
二人きりになったティコとプロキオン。
ティコ「プロキオンいいの?ばれちゃって…。」
プロキオン「ティコ、もっと積極的に動かなきゃ見つからないよ?!」
ティコ「あ、ごめん…。」
プロキオン「僕今回指揮者だし、早く見つけて練習に戻りたいよ。」
ティコ「う…うん。ごめん…。」
空が暗くなり始める。
街の階段で座って休むティコとプロキオン。
プロキオン「今日も収穫なしか…。どこいっちゃったんだ。」
ティコ「うん…。」
プロキオン「あ、ちょっと待って!今夜舞組との合同練習じゃん!」
ティコ「あ、そうだね。」
プロキオン「参ったな~。一旦星の界に帰るか。」
ティコ「う、うん…。プロキオン、ごめんね。」
プロキオン「え?」
ティコ「僕何もできなくて…。プロキオンに助けてもらってばっかで…。」
プロキオン「それはいいよ。僕がやりたくてやってるんだから。ティコ、ベガを助けたいんでしょ?このままじゃ前に進めないよ?できない事ばかり探してないで、できる事を探そう。」
ティコ「う、うん。ありがとう。プロキオンかっこいいね…。」
プロキオン「な、なにさ急に。照れるじゃん。」
ティコ「ホントにホントに。プロキオンもベガも僕の憧れだよ。僕にないもの沢山持ってて。素敵だなって思ってる。」
プロキオン「い、いやあ…。」
するとその時。
ロアン「あ…。あんた達。」
プロキオン「あ、ロアン。」
ティコ「ど、どうも…。」
仕事帰りのロアンが現れる。
ロアン「そんなとこで何してんだ?」
プロキオン「いやあ探し物がまだ見つからなくてね。しかし君とはよく偶然会うね。」
ロアン「そんな事よりあんた達噂になってるぞ。」
ティコ「え?」
プロキオン「あ、あれ?指揮棒がない。」
ティコ「どこかに落としたの?」
プロキオン「さっきまであったはずなんだけど…。ちょっとその辺見てくる。」
ティコ「え…。あ…。」
プロキオンがいなくなり、二人きりになるティコとロアン。
ティコ「…。」
もじもじするティコ。
ロアン「…あんた、あの犬がいなきゃ何もできないんだな。」
ティコ「う…。」
ロアン「…ところで、探してる琴立ってそんなに大事なものなの?」
ティコ「う…うん…。」
ロアン「他のものじゃダメなの?」
ティコ「う…うん…。」
ロアンはため息をつく。
ティコ「そ…その…。僕のじゃないんだけど…その琴立を大事にしている人がいて…。その人が困ってて…。それがないと舞踊会で演奏ができなくて…。その人、舞踊会を凄く楽しみにしてるから…。だから、何とか見つけてあげたくて…。」
ロアン「…。」
一方、指揮棒を探しにいったプロキオン。
ティコに言われた言葉を思い出すプロキオン。
プロキオン「かっこいいか…。ふふっ。嬉しい事いってくれるじゃないか。」
するとプロキオンの目に道端に落ちてる指揮棒が目に入る。
プロキオン「あ、あった!こんなとこに落としてたか。」
するとその時ー。
プロキオン「もが!!!」
背後から何者かに捕まるプロキオン。
第5話 憧れの友達
おわり
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