グゥ「僕達はノエルくんと一緒で、ベビーリーフからこの長靴の中へ落ちたんです。」
グゥ「僕がベビーリーフで暮らしてた時の話ですが…。」
グゥ「あれ~?僕の葉っぱがなくなってる?」
グゥ「すみませ~~ん。ここにあった僕の葉っぱ知りませんかあ?」
グゥは自分の住処にあった葉っぱが無くなってる事に気づき、近くの住民に尋ねる。
昆虫「さぁ、知らないよ。君もダメだよ~。葉っぱはちゃんと持ち歩かなきゃ。この近くに住んでる小人に盗られるよ。」
グゥ「小人…ですか?」
昆虫「この先にある古い葉っぱに住んでるんだよ。そいつ足が悪くて小人達の住処に引っ越さないんだよ。そいつが葉っぱ盗ったんじゃないの?」
グゥ「そうですか…。」
グゥはその小人に会いに古い葉っぱの方へ向かう。
グゥ「あの子でしょうか…?」
グゥの目線の先には、近寄りにくい雰囲気の俯いた少女がいた。
ゴン!
その時、近くにいた昆虫達は小人の少女に向かって小石を投げた。
昆虫「早く小人の住処に行けよ!」
昆虫「あいつ何もやり返して来ないんだぜ。」
グゥ「コ、コラァ!ダメじゃないですかぁ!」
グゥは昆虫達を止める。
昆虫「なんだぁデブ!お前も小人の仲間か!」
グゥ「デブで悪いですかぁ!」
昆虫達に説教を始めるグゥ。
昆虫「な、なんだこいつ…。い、行こうぜ…。」
グゥは少女に駆け寄る。。
グゥ「大丈夫ですか?痛かったでしょ?」
グゥが肩に触れた途端、ビクッと怯える少女。
するとグゥの目に少女が握ってた葉っぱが目に入る。
グゥ「あれ?!そ、それ!!僕の葉っぱじゃないですか!ダメじゃないですかぁ~!他人の物勝手に盗っちゃ~。」
少女「……。」
少女は何も言葉を発することなく、葉っぱを返す事もなく、俯いたままだった。
グゥ「……ええっと、その葉っぱあげますから。今度は他人の物盗っちゃダメですよ。」
次の日、グゥは葉っぱを持参して少女の所へ。足が悪く葉っぱをとるのに苦労してるのだろうと思い、一緒に葉っぱを食べようと誘いに向かう。
グゥ「でもその子は食べてもくれないし喋ってもくれませんでした。」
グゥ「でも次の日また葉っぱを持参していったら、昨日の葉っぱがなくなってたので食べてくれたのだろうと思いました。」
グゥ「それを毎日続けていたら、ある日ついに僕の前で葉っぱを口にしたんです。僕はやっと心を開いて貰えた気がして嬉しかったんです。」
グゥ「でもその後ここに落ちてしまった。その子と仲良くなれるような気がして楽しみだったんですけどねぇ。あの子はどうしてるかな…。名前も知らない子でしたけどねぇ。」
ノエル「……。」
キョトンとした顔でグゥを見つめるノエル。
グゥ「あ、すみませんね。ベラベラ喋っちゃって。そのですね、怯えるノエルくんを見て思い出して…。あの子も君も酷い事をされてきたんだろうなって…。嫌な世の中ですよねぇ。小人ってだけで偏見を持たれて。何でお互い手を取り合って仲良くできないんですかねぇ。」
ノエルは答えた。
ノエル「僕…辛くて…どこかに行きたかった…。そしたら光が見えて、太陽の妖精だと思って…。太陽の妖精は危険って聞いたけど、でもその光を見た時、助けてくれるんじゃないかって思って…。」
グゥ「助けてくれる?」
ノエル「太陽の妖精が葉っぱを沢山増やしてくれると思ったから…。そしたら皆んな葉っぱの奪い合いをしなくなるし、弱い者虐めをしなくなる。」
グゥ「……。そうですか…。」
ピィ達が集まる家に、グゥがノエルを連れてきた。
グゥはピィ達にノエルの事情を報告する。
ピィ「そうだったの…。」
アーモンド「はぁー。なんかめんどくさい世界ね。」
アップル「……。」
アップルはノエルを悲しげな目で見つめる。
ブゥ「僕ちょっとわかるなノエルくんの気持ち…。僕は小人じゃないけど、こういう性格だから皆んなに舐めらる事多くて…。」
アップル「で、でもさぁ!もし太陽の妖精の力でベビーリーフの葉っぱが増えたとしても、意地悪なやつらは葉っぱを更に独り占めして、小人には分けてくれないわよきっと!」
アーモンド「ありえるわね!」
アップル「もうベビーリーフの意地悪なやつらは放っておいて、ここで静かに暮らしたら?太陽の妖精も諦めてさ!」
ノエル「でも僕、ボネ…友達を置いてきちゃった。だからベビーリーフに帰らなきゃ…。ボネの風邪が治ったら太陽の妖精探しに行く約束してるんだ…。」
アップル「……そ、そう…。」
ピィ「今すぐ返してあげたいけど、私達もここを出られないのよ。」
ノエル「え?羽があるのに?」
ピィ「体が重いからちょっとしか飛べないのよ。茎をよじ登る力もないし。」
キィ「そういえばこんだけ葉っぱ生えたのに、ベビーリーフに届く葉っぱなかなかできないね。」
ブゥ「葉っぱは沢山できたのにね‥。」
レェ「ベビーリーフの葉っぱってなんの葉っぱなんだよ。」
アーモンド「そう!その事なんだけど、さっき解散した後にナッツから良い種をもらったの。ベビーリーフの葉っぱはこれと違うんだけど…。」
そういってアーモンドはポケットからある種を取り出した。
ノエル「何これ?小石?」
アーモンド「これは朝顔っていう花の種よ。」
ノエル「朝顔…?」
グゥ「朝顔ですか~。それなら知ってます。ぐんぐん伸びる大きい花ですよねぇ。ベビーリーフに絡まって咲いていたのを見たことがあります。」
アーモンド「そう!季節外れだけど、この長靴の中の環境なら育てられると思うの!あとは朝顔を支える柱になるものがあればいけると思うの。」
ノエル「…?さっきから何の話してるの?」
会話についていけず戸惑うノエル。
グゥ「僕達は今ベビーリーフの為に葉っぱを作ってるんです。ノエルくんも僕達と一緒に朝顔を育てて、ここにある葉っぱをベビーリーフに届けましょう。」
ノエル「え、ここにある葉っぱ皆んなが作ったの?!葉っぱって作れるの?」
レェ「まぁな。だからもう食うなよ。他に食うもんあっから。」
ノエル「こんなに葉っぱがあったら、ボネも喜ぶよ!」
ブゥ「ノエルくん、一緒に頑張ろうね。」
ブゥは優しく微笑む。
ノエル「うん!」
そこにナッツ達がやってくる。
ナッツ「ご飯できたよ。って、もう皆んな集まってんの?」
ナッツ「ちゃんと仕事したのかよ?」
ナッツ「ん?なんだ?そこの赤い服のやつは?」
ピィ「この子はノエルっていうの。ひょんな事から私達と同じく葉っぱから長靴の中に落ちちゃったの。」
ナッツ「説明省きすぎだろ。」
アーモンド「ノエルお腹減ってるんでしょ?ご飯食べない?」
ノエル「え…、いいの?僕勝手に葉っぱ取ったのに…。」
そして皆んなの前にスープが差し出された。
キィ「わ~い!お腹ぺこぺこ~!」
アーモンド「まだ全然働いてないでしょ。」
ノエル「なに?これ?食べれるの?」
ナッツ「ナッちゃん達の料理食えないって言うのか?」
グゥ「ノエルくん、凄く美味しいですよ。」
ノエル「う、うん。」
慣れない手つきでスープを口にするノエル。
ノエル「あちっ!……美味しい…!」
目を丸くするノエル。
ナッツ「ふふん。まぁね。」
ノエル「美味しい、美味しい…!」
アーモンド「ふふっ。沢山食べて早く怪我直して、そしたらたっぷり働いてもらうわよ!」
ピィはこっそりアップルに耳打ちする。
ピィ「悪いわね。」
アップル「いいわよ…。私が太陽の妖精って事さえ黙ってくれれば…。それにあの子…なんか可哀想だし…。ベビーリーフが崩壊する事は言わなくて良いの?」
ピィ「その事を話すのはもう少し後にしましょう。どっちみち葉っぱを育てる事に変わりはないし。」
アップル「そう…。」
アップルはそう言ったあとノエルを切なげに見つめていた。
第13話 グゥと小人
おわり
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