ベビーリーフに戻ってきたピィ達。
ピィ「わ~。久しぶりね~。」
ブゥ「こんな感じだったっけ?」
レェ「ここら辺は下の方の葉っぱで小人達の住処だからな。」
グゥ「僕もこんなに下の方に来たのは初めてです。あ、長靴…フェアリーホイップを見つけた時以来ですかね。」
ブゥ「ねぇ見て。葉っぱの隙間から空が見えるよ。」
ピィ「もっと端の方に行ってみましょ!空がもっと見えるわよ!」
久しぶりのベビーリーフに興奮するピィ達。
空を見る為葉っぱの端まで行く。
ピィ達「わぁ~~。」
グゥ「こうやって空を見るのはいつぶりですかねぇ。」
するとブゥがある事に気づく。
ブゥ「…あれ?ノエルくんは住処に向かったけど、キィはどこに行ったんだろう?」
グゥ「そういえばいつのまにか…。」
レェ「ったく。いきなりはぐれたのかよ。まぁいっか。」
するとその時、1匹の昆虫がピィ達の近くを通り過ぎた。
ピィ「あ!ちょっとそこのあなた!ベビーリーフの葉っぱもう危ないから避難した方が良いわよ!」
ブゥ「えっ、いきなり言うの?」
昆虫「あん?ここら辺は日当たり悪いしそんなのわかっとるわい。避難できるとこがあったらとっくにしとるわ。」
そう言って昆虫は去っていった。
ピィ「あんもう!私が言ってるのはベビーリーフ全体の話よ!全く!」
グゥ「こんな日当たり悪い下の葉っぱに昆虫がいるんですねぇ。」
レェ「そういやそうだな。ここら辺小人達の住処なのに。」
ピィ「とりあえずクッキーを探すわ。クッキーなら話を聞いてくれるはずだから。」
ピィ達はクッキーの家がある葉っぱの上へと向かって行った。
一方ノエルは、小人達の住処へ向かっていたー。
ノエル「だいぶ葉っぱが古いな。葉の数もこんなに少なかったっけ?」
キィ「ノエルこの辺で住んでたの?」
ノエル「うん…。昔と変わってる気もするから、道合ってるかわからないけど…。って、キィ!何でここに?」
キィ「ん?だってノエル一人で行っちゃうから。」
ノエル「僕は別行動取るって言ったじゃないか。まぁ、いいか。」
キィに呆れ苦笑いするノエル。
その時。
ガサガサッ。
キィ「何?あっちから物音聞こえた!」
ノエル「小人かも。行ってみよう。」
物音のする先へ向かうノエルとキィ。
向かった先には、1匹の小さなてんとう虫が。
てんとう虫「ぐぅ、ぐぅ。」
キィ「わ~~!可愛い~~!てんとう虫の子供だぁ~!」
てんとう虫「ぐひっ、ぐひっ。」
キィ「まだ言葉が話せないのかな?」
てんとう虫はよちよちと歩き、ノエルが背負う荷物に近づいていく。
てんとう虫「ぐぅ、ぐぅ。」
ノエル「お腹が減ってるのかな?」
キィ「アーモンドの焼いたお菓子良い匂いしてるもんね。」
ノエルは荷物の中からアーモンドが焼いてくれたお菓子を取り出し、小さくちぎりてんとう虫に差し出す。
ノエル「ほら、お食べ。バームクーヘンっていう食べ物だよ。」
てんとう虫「ぐぅ、ぐぅ。」
てんとう虫は小さな口でバームクーヘンを食べる。
キィ「食べてる食べてる♪美味しそうに♪」
ノエル「でもどうしてこんな所にこんな小さな虫の子が…。後で葉っぱの上に連れてくから。」
そう言っててんとう虫を抱っこするノエル。
どこか嬉しそうなてんとう虫。
キィ「その子ノエルに懐いてるね♪きっとまた食べ物くれると思ってるんだよ。」
ノエル「ふふっ。そうかもね。」
ノエルとキィはてんとう虫を連れて、小人の住処へ。
ノエル「そうだ。確かこの辺りにあったはず…。」
小人の住処にたどり着いたノエルは目を疑った。
そこには虫の子供達がいた。
1匹は蜜蜂の少女。もう1匹はトンボの少年だ。
キィ「あれぇ?また子供がいる。」
蜜蜂の少女「あ!グミ!どこに行ってたのよ!探したんだから!」
ノエル「グミ?このてんとう虫の子の事かい?」
蜜蜂の少女「そうよ!気安く触らないでよ!」
そう言って蜜蜂の少女はノエルからグミを取り上げた。
キィ「ちょっと~!そんな言い方ないじゃん!」
グミ「ぐぅ!ぐぅ!」
ノエルの所へ行きたがるグミ。
蜜蜂の少女「なに?グミ、どうしたの?」
キィ「ベーだ!べろべろば!残念でした!その子はノエルに懐いてるんだから!」
蜜蜂の少女「そんな。小人なんかに懐くわけないじゃない!ちょっとブラウニー!あんたも黙ってないで何か言いなさいよ!」
ブラウニー「もう…。うるさいなマフィンは…。静かにしてよ。本が読めないじゃないか。」
マフィン「もう、あんたってばいっつも本ばっか読んで!私達と遊ぼうとしないんだから!」
蜜蜂の少女の名前はマフィン。
トンボの少年はブラウニーという名前のようだ。
ノエル「マフィンちゃんって言うの?ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」
マフィン「何?気安く呼ばないでくれる?ナンパならお断りよ!」
ノエル「いや…。この辺りに小人達はいないかい?」
マフィン「この辺りはあたし達の住処よ!あんた達小人はさっさと葉っぱの上に行きなさいよ!」
ノエル「葉っぱの上…?」
キィ「どゆこと?ここは小人達の住処じゃないの?」
マフィン「なんですって?!ここまで小人達の住処にするつもり?!」
事情がわからず困惑するノエルとキィ。
するとブラウニーが本を閉じ、ノエル達の所まで歩いてきた。
ブラウニー「あなたは長の使いですか?僕たち虫はどこかへ追いやられるのですか?」
ノエル「長の使い…?いや、違うよ。」
ブラウニー「では何しにここへ?個人的に住処を奪いにきたのですか?」
キィ「あのね、ノエルは昔ここに住んでたの。小人の仲間に会いにここに来たの。」
ブラウニー「…?小人達の住処は葉っぱの上ですが。この辺りは僕たち虫の住処です。」
ブラウニーの話に首を傾げるノエル。
ノエル「どういう事だ…?小人と虫の住処が入れ替わるなんて事があるのか?」
ノエルの言葉にマフィンが反応する。
マフィン「そういえば私達が生まれる前は小人と虫の住処が逆だったってミルクのおばあちゃんが言ってたわ。」
ブラウニー「そういえばそうだね。あの話本当だったんだ。」
マフィンとブラウニーの話を受け止めたノエル。
ノエル「…そうか。ごめんね。君達の住処に勝手に入ってきて。」
するとノエルの目にマフィンのスカーフが目に入る。
ノエル「あ、そのスカーフ。風が吹いたら飛ばされちゃう。しっかり結んだ方が良い。」
マフィン「結ぶってどうやって?」
ノエルはマフィンに結び方を教える。
ノエル「こうやって輪を作って通すんだ。これなら強い風が吹いても飛ばされないよ。」
マフィン「……。」
マフィンの頰が少し赤くなる。
そしてそんなマフィンの様子を見て、ブラウニーが少し慌てた表情を浮かべた。
ノエルとキィはその場から立ち去って行った。
ブラウニー「な、なんだあの小人は。偉そうに。」
マフィン「……。あ、あれ?グミがいないわ!」
虫達の住処から立ち去ったノエルとキィ。
キィ「ノエルどうする?これから。」
ノエル「葉っぱの上に行ってみよう。あの子達の話が本当なら、僕達がベビーリーフにいない間に住処は入れ替わってしまったんだ。」
キィ「もしそうならなんでだろうね~。」
その時ー。
グミ「ぐひっぐひっ。」
キィ「あれ?この子!」
ノエル「グミ…だっけ?ついて来たのか?」
グミ「ぐぅ、ぐぅ。」
ノエル「マフィンちゃんとブラウニーくんが心配するよ。」
キィ「完全にノエルに懐いちゃったね。もぅ一緒に連れてこうよ。」
ノエル「うーん…。仕方ないか。」
グミを連れて葉っぱの上へ向かう事になったノエルとキィ。
ベビーリーフでは今何が起きてるのか…。
第21話 虫の子達
おわり
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