ノエル「……!」
ノエル「皆んなー!咲くよー!」
ピィ達の耳にノエルの声が届く。
キィ「咲くって?」
レェ「朝顔か?!」
ピィ「ちょっ!行くわよ!」
ブゥ「あぁ待ってまだ食べ終わってない…。」
グゥ「僕もですぅ。」
アーモンド「後で食べなさい!さっ、急いで!」
ナッツ「えっ!朝顔咲くの?!」
ナッツ「急げ急げー!」
朝顔の方へ走るピィ達。
ピィ「ノエル!朝顔は?!」
ノエル「皆んな、見て。」
そこには白く美しく咲いた朝顔が。
キィ「あ~ん。間に合わなかった~。咲く瞬間が見たかったのにぃ。」
レェ「ついに咲いたか…。」
グゥ「長かったですねぇ…。ここまで…。」
涙ぐむグゥ。
ナッツ「全く。本当はもっと早く咲くはずだったのに、どっかの誰かさん達が支柱結ぶ時に葉っぱから落っこちてつるをちぎったからな。」
ピィ「ちょっと!昔の事掘り返さないでくれる?!」
アーモンド「でもこの環境の中でよく育ってくれたわ。一時はどうなるかと思ったけど。つるちぎった後皆んなやる気なくしちゃうし。」
グゥ「おかしいですねぇ。」
キィ「何が?」
グゥ「僕がベビーリーフで見た朝顔は青っぽかったような気がするのですが…。」
アーモンド「白い朝顔は私も初めて見るわ。花言葉は『固い絆』、『あふれる喜び』よ。素敵じゃない。」
ピィ「今の私達にぴったりって事ね♡」
レェ「やめろ。俺そういうの苦手だ。体が痒くなる。」
ノエル「さぁ、小屋に戻ってこれからの話をしよう。」
ピィ「そうね。」
ブゥ「あぁそうだ。ご飯残してたんだ。」
グゥ「パンが固くなっちゃいますぅ。」
小屋に戻ったピィ達。
ピィ「ベビーリーフに戻ってみないといろいろわからないけど。どうやって皆んなを避難させようかしらね。」
ブゥ「ベビーリーフ危ないよって言って信じてくれるかな?」
レェ「長靴に生えてる葉っぱちらつかせたら尻尾振って来るだろ。」
ピィ「まぁ確かに。ただ争いは起きるし根本的な解決にならないのよね。」
グゥ「後はアップルさんですねぇ。元気でしょうか…。」
キィ「アップル戻って来なかったね。」
するとノエルが。
ノエル「僕は別行動したいんだけど良いかい?小人達の所へ行って説得するよ。」
レェ「そうだな。俺らが言うより同じ小人のお前の方が良いだろうな。」
ピィ「そうね。小人達はノエルに任せましょう。私達はとりあえず昆虫達に本当の事を言ってみるわ。私の友達なら信じて協力してくれると思う。」
ノエル「クッキーさんの事?」
ピィ「えぇ。」
アーモンド「パンやお菓子沢山焼くから、持って行きなさい。もう葉っぱ食べるわけにはいかないんだし。」
ノエル「ありがとう。」
グゥ「アーモンドさん、ナッツさん、お世話になりました。」
ピィ「本当ね。ありがとう。感謝してもしきれないわ。」
アーモンド「こっちこそ楽しかったわ。またしばらく土から離れちゃうのね。」
ナッツ「お前達戻ってくるよな?」
レェ「なんだ?寂しいのか?」
ニヤつくレェ。
ナッツ「違う!お前達がいなきゃ食物育てるの大変なんだ!」
ノエル「戻ってくるよ、必ず。また一緒に土の上で暮らそう。」
ブゥ「あぁ…。なんか緊張してきた…。」
ナッツ「ははっ!緊張しなくたって誰もお前の事覚えてないだろうから安心しろ!」
ブゥ「ひ、ひどいよぅ…。」
ピィ「大丈夫よブゥ!ベビーリーフの住民よりあなたの方がしっかりしてるのよ!」
キィ「フェアリーホイップともしばらくお別れかぁ。」
アーモンド「前から思ってたんだけどそのフェアリーホイップって何?」
キィ「ん?この長靴の世界の名前。」
ナッツ「だ、だせぇ…。」
旅支度をするピィ達。
アーモンド「さっ!焼けたわよ!」
大量のパンとお菓子が焼き上がる。
キィ「わー!美味しそう!一個食べて良い?」
アーモンド「ダメよ!ベビーリーフに行ってからの食料なんだから!」
キィ「うぅ~。こんなにあるんだから一個くらい良いじゃん。」
アーモンド「だーめ!それにさっきご飯食べたばかりじゃない!」
ブゥ「えっと、これも持って行った方が良いかな…。あとこれも…。」
レェ「あんまいろいろ持って行っても大変だぞ。俺らの住処が残ってるとは限らねえし。もしあっても置いといたら盗まれちまうかもしれねぇ。」
ブゥ「あーそっかぁ…。」
アーモンド「パンとお菓子は人数分に分けておいたから。」
ナッツ「なんか遠足みたいだね。」
グゥ「楽しみですねぇ。ベビーリーフ。」
ノエル「このお菓子ボネに食べさせてあげたいな。」
ピィ「そうね。こんなに美味しいもの作れちゃうんだから、葉っぱの奪い合いは辞めましょーって教えなきゃね。」
荷造りを終え、朝顔へ向かうピィ達。
ブゥ「に、荷物重いね。」
ナッツ「また葉っぱから落ちそうになってつるちぎるなよ。」
アーモンド「元気でね。何かあったらすぐに戻ってきなさい。」
ノエル「いろいろありがとうございました。お世話になりました。」
アーモンドと握手をするノエル。
アーモンド「ノエル…こんなに手大きくなって…。最初いろいろ心配したんだからね。」
アーモンドの言葉に恥ずかしげに照れ笑いするノエル。
グゥ「ノエルくんもう小人じゃないですねぇ。大きいです。」
ナッツ「小人は成長するんだね。ナッちゃん達は妖精だから成長しないけど。」
ピィ「アーモンドとナッツも体に気をつけてね。」
アーモンド「えぇ。」
キィ「ナッツ、戻ってきたらまた一緒に怖い話しようね。」
ナッツ「おぅ。」
ピィ「説得が上手くいったらアップルを連れてすぐに戻ってくるから!だからそんな寂しがらないで!」
ナッツ「寂しがってないよ!」
アーモンド「アップルの事お願いね。」
ノエル「はい。」
そしてピィ達は朝顔の葉っぱを登っていく。
長靴の出口付近まで来るとー。
ブゥ「わぁあああ。結構な高さまで来たよおおお。」
レェ「下を見るな!」
グゥ「ぜぇ、ぜぇ…。まだ登るんですかぁ…。」
キィ「ぜぇ、ぜぇ…。ちょっと休憩しない?食料もある事だし。」
ピィ「ほら頑張って!出口までもう一息よ!」
そんな様子を地面から見ていたアーモンドとナッツ。
ナッツ「大丈夫かよあいつら。あんなんで…。」
アーモンド「そ、そうね…。」
アーモンド達が地面から見守る中、朝顔の花までたどり着いたピィ達。
ブゥ「ひぃ、ひぃ…。や、やっと着いた…。」
地面にいるアーモンドとナッツ達に向かって叫ぶピィ。
ピィ「じゃーねー!!アーモンド!!ナッツ!!」
キィ「行ってきまーす!」
手を振るピィ達。
アーモンド「じゃーねー!!待ってるからー!!」
ナッツ「ばいばーい!!」
ピィ達はアーモンド達に向かって一礼をした。
ついにベビーリーフに戻ってきたピィ達。
ベビーリーフ住民引っ越しに向けて意気込む。
第20話 巣立ち
おわり
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