星のティコ 第14話 神秘と愛の物語

絵本『星のティコ』

◆前回のあらすじ◆

自暴自棄になったアルファーは隕石となってコンフェイトに衝突しようとする。しかしかつての相棒だった町長の姿を見て言葉を失い我に返る。

隕石による震動により崖から落ちたロアン。ロアンを受けとめたベガ達は、舞踊会に向かおうとしていた。

コンフェイトに集まった観光客達は騒ついていた。

観光客「ねぇもう時間過ぎてない?」

観光客「ペガサスと喋る犬は?!まだ出てこないの?!」

観光客「まさか都合により中止になりましたとか言わないよね?」

混乱する観光客達。

その時、空が急に明るく光出す。

観光客「?!!」

空を見上げる観光客達。

観光客「………何…?…あれ…?」

一方…。

ロアン「……うぅ……。」

崖から落ち、気絶していたロアンは目を覚ます。

ミュー「あら、やっと起きたのね。」

ロアン「…えっと…、ここは…。」

ロアンはミューの背中に乗っていた。

ミュー「私の美しい背中を汚さないでよ。今回の舞踊会は地上に近い空でやろうって事になったの。私は踊らない代わりにあんたを乗せてくれってチビにお願いされたわ。ヘタレのくせに私に意見するなんて生意気よね。まぁ目立てるし練習サボってて振り付け覚えてなかったから丁度良かったけど。」

ロアン「舞踊会……。」

ロアンは訳がわからないままふと空を見る。

ロアン「…………!」

ロアンの前には舞踊会で集まった星たちがいた。

プロキオン「ではー。只今より星の界による舞踊会『希望の祭典』を始めたいと思います。」

プロキオンが指揮をする。

カーーン

始まりの鐘が鳴り響く。

“心の花が枯れた時”

“心が夢を失った時”

“見上げて欲しい”

“私達がいる世界を”

“いつも見守ってるよ”

“そこに希望の光が生まれる”

ロアン「…………ティコは……?」

ミュー「あん?」

ロアン「ティコはどこ…?」

ミュー「チビならあそこよ。」

歌い手組の方を見るミューとロアン。

ロアン「……!」

“憎しみと悲しみで心が支配された時”

“思い出して欲しい”

“あなたに優しくしてくれた人”

“あなたを心配してくれた人”

“あなたに愛をくれた人”

“今度はあなたが与える人になって欲しい”

“そこにきっと希望の光が生まれる”

プロキオン(次はティコのパートだ…!)

トナ、ミザール(ティコ頑張れ!)

しかしー。

ティコ「う、ゲホッ!ゲホッ!」

噎せるティコ。

ベガ(ティコ…!)

ミュー「だ〜〜!!何やってんのよあのチビ!!」

ロアン「ティコ……。」

ティコ(……の、喉が…。声が出、出ない…。う、歌わなきゃ…。ロアンが見てる…。)

その時ー。

“またあなたに会いたい”

“私に愛をくれた人”

ティコのパートを歌うアルファー。

” 私が愛を与えたい人”

ミザール「…アルファー…。」

“この世界のどこかで”

“どんな姿になっているかはわからない”

“またあなたに会いたい”

そして、喉の調子が落ち着いたティコは歌い始める。

“またあなたに会いたい”

“私に愛をくれた人”

ティコは顔を真っ赤にして震えながら歌った。

 “私が愛を与えたい人”

ベガ(ティコ、音外れてる…。でも…。)

プロキオン(決してうまくはないけど…凄く良いよ、ティコ。)

 “この世界のどこかで”

“どんな姿になっているかはわからない”

おじさん「ティコくーん。」

“またあなたに会いたい”

“あなたを抱きしめたい”

“会えて良かったと伝えたい”

“あなたに愛と希望を届けたい”

舞踊会は幕を閉じた。

ロアンを地上へ送り届けたティコ。

ティコ「ロアン、いろいろありがとう。」

ロアン「いや…。送ってくれてありがとう。」

ティコ「ううん。あ、あのさ…。歌…音外れちゃった…。噎せちゃったし…。」

ロアン「……ううん。ちゃんと伝わったから…。」

ティコ「ほ、本当?それなら良かった…。情けなかったけど、見せられて良かった。」

安心するティコ。

ロアン「ティコ…。」

ティコ「うん?」

ロアン「私、ティコが好き。」

ティコ「…………。」

ティコ「え、えーーーーーっ??!!」

ティコ「…あ!好きってそっちの意味じゃないか。いやでもロアン僕が鈍臭いからイライラしてそうだし…。え、ええ…??」

ロアン「ティコ…。」

ティコ「えっ、あ、は、はい…!」

ロアン「ベガを助けに来てくれてありがとう。」

ロアン(お母さんーー。)

ロアン(お父さんーー。)

ロアン「…私に…会いに来てくれてありがとう。」

ティコ「……。」

ティコ「…うん。僕も…。」

ティコ「ロアンに会えて良かった。」

第14話 神秘と愛の物語

おわり

コメント

タイトルとURLをコピーしました